多数の樹木伐採などに批判が強い明治神宮外苑地区(東京都)の再開発を巡り、外苑の土地の大半を保有する宗教法人・明治神宮の担当者、神宮外苑の成瀬伸之総務部長が取材に応じた。再開発は、神宮の運営維持や樹木の更新のために必要な事業と主張した。
――明治神宮運営における外苑の存在は。
明治神宮の収益構造は、スポーツ施設を持つ外苑、ブライダル事業の明治記念館といった収益部門から資金を繰り入れて(明治神宮がある)内苑を「護持」しています。
(収益事業全体のうち)外苑は約8割。その6~7割は神宮球場の使用料などの収入、ほかはスケート場やテニス場などです。野球場が機能しなくなる、つまり外苑の収益がないと明治神宮を支えられません。
――なぜ球場を建て替える。
球場は完成から約1世紀。耐震補強工事済みですが、この先の50年、100年はもたない。敷地も狭いため、大学などの学生、プロ野球が同時にある日には救急車も入れないくらいの人流となります。
観客席の間隔も狭く、車いすの方へのバリアフリーも不十分。建て替えないと課題が解決できません。
(伐採本数を大幅に減らせると提案がある)現在地建て替えは、解体から竣工まで5年くらいかかります。年約450試合がある球場が使えなくなるのは、野球界、神宮運営にとって現実性がありません。秩父宮ラグビー場と場所を入れ替えて段階的に建て替えることで解決できます。
――「いまの球場を残してほしい」という声もある。
姿、形はかわっても神宮球場という存在を未来永劫つないでいくんだという思いです。
狭くて混雑してもあの古さがいいという人もいるかもしれません。しかし、球場を提供する側としては不便さを解消し、安全安心で快適な観戦環境を整えたいと考えています。
明治神宮外苑地区の多くの土地を所有するのが宗教法人・明治神宮。その担当者が考える再開発の目的、批判への説明、今後の展開を聞きました。記事後半にある、再開発を巡る懸念点とともに、お読みください。
――新球場が、イチョウ並木…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル