「はじめ」の声がかかり、制服姿の高校生が「よろしくお願いします」とお辞儀をする。
小走りで取りに行ったのは枝や流木。大きな作品にするには、花以外でつくる土台が重要だ。流木で作った隙間に竹を立てたり、枝を斜めに倒して立てかけたりして、多少の衝撃があっても花器が倒れないよう安定させる。
「重~い」と言いながら、1メートル以上ある枝を持ち上げて花器にいけた。
そこから、白色のキクや青色のキンギョソウなどをいけていく。
花が前を向くように。
色のバランスがとれるように。
丁寧にかつ、すばやく花器に差し込む。ここで茎部分が水についていないと「保水ミス」となるため、注意が必要だ。
わずか5分で、天井につきそうなほど高く枝が広がり、こぶしほどの大きな白いキク4輪の周りを、紫や青の花が彩る作品ができあがった。
香川大会3連覇の「花笑み」
ここは、香川県立飯山(はんざん)高校(丸亀市)の校舎の一室。
1月中旬の放課後、フラワーアレンジメント部の3年生、黒川愛夢(あゆ)さん(18)と秦風花さん(18)が、今年2月にある「全国高校生花いけバトル全国大会」に向けて、試合形式の練習に取り組んでいた。
2人はチーム「飯山 花笑(はなえ)み」で、昨年8月にあった全国高校生花いけバトル香川大会で優勝し、大会3連覇を果たした。
この日、笑い声が響く和やかな雰囲気で、初の全国一に向けての練習は進んだ。
高校3年間、好成績を残し続けてきた2人だが、初めて花をいけたのは、2年10カ月前。高校入学時の生け花経験はゼロだった。
香川大会3連覇と圧倒的な強さを誇る「飯山 花笑み」の2人ですが、3年時の香川大会決勝では苦戦をしいられました。記事の後半では決勝の様子や、「花笑み」に込められた思いについて紹介しています。
2人は小学校からの同級生…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル