板倉大地
昨年の刑法犯の認知件数は70万3351件となり、前年から17・0%増えた。認知件数が前年を上回るのは、20年ぶりに増加に転じた2022年から2年連続。コロナ禍前の水準に戻りつつあるが、警察庁は「犯罪情勢が悪化に転じたかについては、今後の動向を注視したい」としている。
警察庁が8日、発表した。増加が目立つのは街頭犯罪で、前年比21・0%増の24万3987件になった。内訳では、自転車盗(前年比27・4%増)やオートバイ盗(同25・7%増)が増えた。住居侵入などの侵入犯罪も19・1%増加。特に空き家を狙った窃盗が倍増した。
殺人などの重要犯罪は前年から29・8%増加。不同意性交(同63・8%増)や不同意わいせつ(同29・5%増)、略取誘拐・人身売買(同34・9%増)が目立った。
不同意性交も大幅増 警察庁「相談しやすい環境」
昨年7月、強制性交などの構成要件を改めた改正刑法が施行され、不同意性交などとなった。不同意性交は、昨年7月以降の認知件数が月平均で295件。6月までの平均157件から大幅に増えた。警察庁は「相談しやすい環境整備などが背景にある」と分析する。
略取誘拐・人身売買では、2割が通話・通信アプリを利用した手口だった。こうしたアプリの利用は前年から1・6倍になった。
認知件数とは別に、窃盗などの財産犯による被害額を初めてまとめた。前年比で56・7%増の約2519億円。このうち6割強の約1626億円が詐欺による被害で、前年から85・4%増えた。インターネットを利用した詐欺が増え、1件当たりの被害額が増えたという。(板倉大地)
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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル