「どうも島田ですー」
明るい声で民家の引き戸を開けたのは、制服姿の警察官だ。制帽に銀縁の眼鏡。その中で、蛍光イエローの腕時計がひときわ目立っていた。
顔なじみの高齢男性が玄関先に現れると、「どうですか、最近?」と目尻を下げて笑いかけた。男性から「どうぞ」と誘われると、「ありがとうございます」と言いながら居間へと進み、しばらく雑談する。何げなく「最近、近くで特殊詐欺の被害が多くてですね。注意してほしいんですよ」と切り出した。
日本最北の警察・北海道警の警察官と警察職員は計1万2千人。365日任務にあたる人たちの仕事を追いました。記事後半では、元営業マンの「駐在さん」が見た過疎地の姿に迫ります。
島田幸範(48)=敬称略=は2020年4月から、北海道東北部の山あい、遠軽町にある生田原駐在所の所長を務めている。
05年に遠軽町と合併した生田原町は戦前、金と銅を産出する鉱山の町として栄えた。しかし、過疎化が進み、現在の人口は1500人を下回る。中心部を南北に国道が走るが、道路脇には廃屋が目立つ。
その国道沿いにある生田原駐…
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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル