キックバックで税逃れ――。自民党派閥の裏金事件で、政治家とカネに対する疑念が渦巻く中、確定申告が進んでいる。昨年10月にインボイス(適格請求書)制度が始まり、新たに消費税を納める負担にあえぐ人たちは政治に厳しい目を向けている。
「適切に納税、申告を行っていくよう、お願いをしなければならないと考えている」
16日から始まった所得税の確定申告について、岸田文雄首相は14日の衆院予算委員会でこう述べた。
裏金事件では、多数の議員が還流されたパーティー券収入を政治資金収支報告書に記載していなかったにもかかわらず、事件発覚後は「政治活動に使った」として非課税の政治資金扱いにしている。
また多額の政策活動費についても、政治活動に使われなかった分には納税義務が生じるが、その使途は明らかにされないままだ。
身内に言ったらどうですか
税逃れの疑いも指摘される中での首相の発言に、X(旧ツイッター)上では「確定申告ボイコット」という言葉が拡散。「国会議員に税務調査を」と求める声も上がった。
東京都世田谷区に住むグラフィックデザイナーの男性(44)も、岸田氏の答弁について「余計なお世話。まずは自民党総裁として、ご自身の『身内』に言ったらどうですか」とあきれ顔だ。
個人事業者の男性はインボイス制度に登録し、消費税を納める義務を負った。免税事業者のままでは、納品先が税額控除できなくなって取引を止められる懸念があり、課税事業者に転じると決めた。
しかし取引価格を上げなければ、手取りは消費税分だけ丸々減ってしまう。男性の場合、年間で50万円以上になるとみられ、取引先を失うか、税負担を増やすか、悩んだ末の決断だった。
インボイスをきっかけに政治に強い関心をもち、動き始めた人もいます。識者は税金を納めているという当事者意識の養成が必要だと説きます。
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それだけに一連の「政治とカ…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル