被爆者を親に持つ長崎の「被爆2世」ら28人が、2世への援護策を講じなかったとして国の責任を問い、国家賠償を求めた訴訟の控訴審判決が29日、福岡高裁であった。判決は原告の請求を棄却した。
「悔しいです」。この日、自宅で原告の仲間から判決を聞いた原告の小杉実知子(こすぎみちこ)さん(76)は言葉を詰まらせた。
幼いころから、母・八重子(やえこ)さん(1993年、85歳で死去)の被爆体験を聞かされて育った。
原爆投下時、用事で長崎県佐世保市に来ていた八重子さんは約1週間後、長崎市の自宅に戻り入市被爆した。台所のあった場所で八重子さんの母と思われる黒こげの遺体を、がれきのなかに父の頭蓋骨(ずがいこつ)らしきものを見つけたという。「やかんかと思って何か蹴ったと思ったらお父さんのしゃれこうべだった」。八重子さんが語った体験は生々しかったという。
小杉さんは30代半ばを迎えたころ、知人の紹介で「長崎被爆二世の会」に入会した。
当初は「知人の力になれれば」というくらいの軽い気持ちだった。2世の会員には、親と同じがんになる人や「親の被爆が自分たちの子どもに影響するのではないか」と口にする人が少なからずいた。「もしかしたら私にも、母の被爆の影響が出てくるのではないだろうか……」。周りから話を聞くうちに不安が頭をもたげた。
「2世の不安」が明確になっ…
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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル