世界中から観光客が集まる富士山の「映え」スポットで、来訪者へのおもてなしを生きがいにする警備員がいる。現役時代は「三井物産」で活躍する商社マンだった。その名刺がなくなったいま、見返りを求めることのない、心からのふれ合いに喜びを感じている。
富士山が雲で見えなくなった正午前。中国から来た男性はスマホを構えたまま残念そうな表情だった。
そこに一人の警備員が現れ、英語で話しかけた。スマホを取り出し、雲一つない富士山の写真を見せた。訪日客にプレゼントできるようにと、毎朝の日課で撮影しているものだ。男性は驚いた表情で「サンキュー」と言って写真データをもらっていた。
別の日には、中国の5人家族が記念撮影を頼む相手を探していた。車が来ていないことを確認し、別の警備員に安全確認を依頼した上で、富士山を背に写真を撮った。別の観光客から道案内を求められると、ジェスチャーを交えて英語で案内した。
富士山の人気撮影スポットに立つ
警備員として活躍するのは住井正男さん(80)。
※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル