大阪市を廃止して特別区に再編する大阪都構想をめぐり、松井一郎市長は5日、制度移行の時期について令和7(2025)年1月を目指すと表明した。同年5月に開幕する大阪・関西万博を見据え、「新しい自治体の形『ワン大阪』で万博に臨みたい」と強調。松井氏が率いる大阪維新の会では3つの案が議論されたが、それぞれメリット・デメリットがあり、「万博の年」という象徴的意味がある7年1月案に軍配が上がった形だ。
都構想の賛否を問う住民投票は来年秋ごろに実施される見通し。ここで賛成多数となっても、組織再編やシステム改修などで3~4年の準備期間がいる。さらに実際の移行にはシステムの切り替えや端末の動作検証に4日ほど必要なため、維新では年末年始の休日利用を前提に、6~8年の年始案が検討されていた。
ここで議論の焦点となったのは、次の統一地方選で行われる大阪市議選(5年4月)と、特別区移行後の新たな区長・区議選のタイミングだ。
公職選挙法では、新たな地方公共団体の設置から50日以内に選挙を行うと規定。6年1月の移行となると、統一選から1年も置かずに再び選挙となり、コスト批判が避けられない。一方で8年1月にすると、統一選から期間があき、移行作業にも余裕が持てるが、住民投票から時間がかかりすぎる難点があった。
こうした検討を踏まえ、最終的に残ったのが7年1月案。もともと松井氏や吉村洋文知事(維新代表代行)は万博前の移行に思い入れが強かった。維新幹部は「新しい大都市のスタートを、万博の年から切りたい。そういうシンボリックな意味合いが大きい」と説明する。公明党は「独自の提案はせず、維新側の提案を受け入れる」(公明府本部幹部)という姿勢だ。
ただ万博や大阪府市が誘致を目指す統合型リゾート施設(IR)の設置目標と近接するため「府市職員の負担がかなり増え、行政運営に影響が出るのでは」との懸念もある。
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Source : 国内 – Yahoo!ニュース