島根県立大准教授で「ローカル鉄道という希望」という著書がある田中輝美さん(47)は、移住でも交流でもない「関係人口」の中に地方を元気にするヒントを見る。
JR全線を端から端まで乗る「完全乗車」の達成経験もある田中さん。JR芸備線の存廃などを議論する再構築協議会の初会合が26日に始まるのを前に、思いを聞いた。
シリーズ 線路は続くか
地域の「足」のローカル鉄道が廃線の危機を迎えています。線路は続くよ どこまでも――。希望を込めて歌うことはできないのか。現場からの報告です。
――完全乗車のきっかけは? 鉄道にはどんな魅力がありますか。
大学3年の時、鉄道路線の乗りつぶしの地図を制覇しようと始めた。以前から鉄道で仏像めぐりをしていたので、当時で6割ぐらいカバーしていたが「完乗(かんじょう)」には20年かかった。
鉄道は各地の地域性が感じられる。方言が飛び交い、学生の制服も違う。知らない地名を調べながら列車に揺られていると、新しい土地に足を踏み入れる感覚がある。飛行機だと、こうはいかない。
鉄道を廃止するのは…「私たち自身」
――2018年に広島県三次市と島根県江津市を結ぶ三江線が廃線に。苦い思いがあると聞きました。
当時は地元紙の記者をやめ、フリーランスで活動していた。一人の住民として何かできたのではないかと深く後悔した。
よく地域住民は「移動の足を…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル