寺沢知海
校長人事に絡み、名古屋市教育委員会が外部団体から推薦名簿と金品を受け取っていた問題で、市の第三者の調査チームが29日、中間報告書を公表した。金品を直近7年間で計約1312万円受け取り、校長経験者らに人事案を見せるための「内覧」と呼ばれる会合費などに使っていたことが明らかになった。現時点では人事への影響は確認できないとしつつも、一連の行為を不適切と認定した。
教員人事を行う市教委教職員課には毎年、翌年度の校長や教頭、教務主任の人事について、校長会や大学の同窓団体などから推薦名簿が提出され、その際に現金や商品券が贈られていた。
中間報告書によると、金品の一部は、人事案を承認する立場の幹部ら7人に、2017年から計約424万円が分配されていた。外部関係者との会合費だったという。
この費用には、校長や市教委の管理職の経験のある退職者との会合も含まれていた。幹部のなかで「内覧」と呼ばれ、公表前の人事案を退職者らに見せて意見をうかがうためだったという。金品は、タクシー代や課内の打ち上げ費などにも使用されていた。
推薦名簿は教職員課内で「アングラ(アンダーグラウンドの略)」と呼ばれ、公式には「存在しないもの」として扱われていたという。一部の名簿には記載者に順位付けをしているものもあった。
人事に関わった幹部らはヒアリング調査に対し、「把握している情報に漏れがないか確認のために使用した」などと回答。一方、名簿に基づいて人事を決めたという回答はなかったという。
中間報告書では、推薦名簿や金品を受け取ることは「特定の団体からの情報が人事に影響を与えていた」との疑惑を招くと批判。「市職員の倫理の保持に関する条例」に照らしても「不適切」だと断じた。(寺沢知海)
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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル