【動画】東鹿越駅と布部駅で最終列車を見送る人たち=中沢滋人、嶋田達也撮影
JR北海道・根室線の富良野―新得間(81・7キロ)が31日、117年の歴史に幕を閉じた。映画やドラマの「聖地」とされた駅でも大勢のファンや地元の人たちがペンライトを振り、暗闇に消え行く最後の列車を見送った。
同区間は1907(明治40)年9月に開通。北海道の東西をつなぐ主要路線だったが、2016年8月の台風被害で寸断された。無人7駅中2駅は代行バスで路線を維持してきたが、利用が極端に少ないとしてJR北が廃止・バス転換を示し、24年3月末での廃止に地元が同意した。
布部(ぬのべ)駅はテレビドラマ「北の国から」で、東京から郷里への移住を決めた黒板一家が降り立つ最初のシーンに登場。地元住民が開いた31日のお別れセレモニーに、脚本家の倉本聰さんもサプライズで登場。駅の待合室で「北の国から」の構想を練ったエピソードを披露し、「寂しいですね」と別れを惜しんだ。また、「人間の営みは変わっても自然は変わりません。僕らもまた遊びに参ります」と地元住民を気遣った。
夜には駅舎の明かりがぼんやり浮かぶホームが見送りの人たちであふれ、最終列車に別れを告げた。まだ駅舎の存廃は決まっていない。
映画「鉄道員(ぽっぽや)」に「幌舞(ほろまい)駅」として登場した幾寅(いくとら)駅は8年近く汽笛が途絶え、最後は代行バスの見送りという切ない幕引きとなった。ただ、駅舎には高倉健や志村けんらのロケ写真や衣装などが展示され、訪れるファンが絶えず、地元観光協会がそのまま映画資料館として管理していく。(奈良山雅俊)
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル