ミスコン受賞者やスポーツ選手など、外国にルーツを持つ日本国民に「日本人らしくない」と中傷の言葉が投げかけられる事例が相変わらず続いている。
社会の多様性が進む一方で、なぜ「純ジャパ」幻想は維持されるのか。マジョリティーの「日本人」が抱く自画像を読み解いてきた社会学者の福岡安則さんに、幻想のよりどころをあらためて突いてもらった。
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観念の「日本人」を類型化してみると……
日本人とは何か。それは定義不能で、問題設定そのものが虚偽だと思います。
定義可能なのは、国籍法による「日本国民」だけですが、それも立法いかんで変わる人為的なもの。「日本人」の概念規定はどこにもありません。にもかかわらず、自分が典型的な日本人だと信じているこの国のマジョリティーは、まるで自明であるかのような「日本人」という観念を保持しています。
その観念を「血統」「文化」「国籍」の3要素で類型化してみましょう。すべてそろった「純粋な日本人」のほか、いずれかの要素を欠く日系移民1世、帰国子女、帰化者、中国残留孤児、民族教育を受けていない在日コリアン、アイヌなどが抽出できます。もちろん現実にはグラデーションがあり、いずれにも当てはまらない人もいますが、あくまで理論的な類型枠組みです。
このうち、日本の多くの人が…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル