◆買収事実なら刑事罰 議員失職の可能性
自民党の河井案里参議院議員が立候補した7月の参議院議員選挙で、選挙事務所が運動員に対して規定の2倍の報酬を払って買収した疑いで、「政治資金オンブズマン」共同代表の上脇博之神戸学院大学法学部教授ら11名が27日、公職選挙法違反の罪で河井案里議員、河井克行前法務大臣ら3人を広島地検に告発状を送付する。
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今回、告発されるのは河井案里議員と、事実上の「選挙運動の中心人物」である河井克行前法務大臣と、克行氏の秘書を務めたこともあり、現在は案里氏の公設秘書を務めている人物の3人。
告発状によると、河井案里議員ら3人は、7月に行われた選挙において、車上運動員15人中13人に対して、一人一日1万5000円と法令で定められているにもかかわらず、3万円を支払って買収した疑い。さらに、河井議員らは、買収を隠すために、虚偽の領収証を作って選挙管理委員会に報告した疑いがあるとしている。筆者は情報公開請求で、偽造の疑いのある領収証を入手した。
◆週刊誌報道後、説明もせず雲隠れ
河井克行氏は、この問題が週刊誌報道によって明るみ出て法務大臣を辞職しているが、その後、河井案里氏とともに公の場に姿を出すことなく議員職を続けている。
この買収疑惑は、選挙の統括をした河井克行によって、13人もの多人数を買収した疑いが持たれており、事実であれば公職選挙法の中でも一番罪の重い刑事罰に相当する。また河井案里議員には、こうした違反行為を広島県議会議員時代の選挙でも行っていたという報道もあり、違法行為が常態化していた可能性が高いと告発状で指摘している。
告発人の一人である「政治資金オンブズマン」の上脇博之神戸学院大学法学部教授は、次のようにコメントした。
「河井元法務大臣夫婦らの疑惑は、買収の中でも刑事罰に該当する最も重く悪質な買収です。選挙の公正を著しく害した犯罪なので、刑事告発するに至りました。検察は裏帳簿を押収するなど徹底した捜査を行い、過去も含め真相を解明し二人の刑事責任を追及してほしい。週刊誌報道に対し、否定も反論もできていないにもかかわらず議員に居座っており、説明責任を果たさないので告発に踏み切った」 (鈴木祐太)
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