高地トレーニングといえば、かつては登山家かマラソン選手のための特訓だった。低酸素状態を利用し、心肺機能と持久力を向上させる――。そのノウハウを洗練させ、手軽に利用できるようにした低酸素トレーニングジムが増えている。月1ゴルファーの記者もアシックスが運営するジムで体験してみた。低酸素で体を動かすとどうなるのか。そして総合スポーツ用品メーカーがジム運営に乗り出した狙いは――。
「富士山七~八合目」で運動
アシックス(本社・神戸市)が東京・豊洲にオープンさせた施設は、トレーニングスペースだけで約3千平方メートル。酸素濃度(平地で約21%)を部屋ごとに変えられ、標高4千メートル相当の約13%に設定することもできる。
30分ほどトレーニングを体験してみた。標高2860メートル相当の酸素濃度15・1%に設定された部屋を選んだ。富士山の七~八合目あたりだろうか。
トレーナーと話しているだけで、指先につけた「パルスオキシメーター」で測定される血液中の酸素飽和度は下がっていく。息苦しさはまだ感じない。
トレッドミル(ランニングマシン)で歩きだすと、部屋に入った直後に95~96%だった酸素飽和度(血液中の酸素量を示す値)が85%くらいまで下がる。トレーナーに促され深呼吸をすると数値が少し上がる。走り出すと、息が切れるのがいつもより早い感じだ。
バーベルを使ったスクワットやデッドリフトなどでは、少しだけ力が出にくいかなという印象だった。
富士山で高山病になり、チベット旅行ではインフルエンザのような頭痛に悩まされていただけに、「低酸素」には身構えていた。結果は、拍子抜けするほど通常のトレーニングと変わらなかった。
ただ、不思議だったのが、トレ…
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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル