カジノを含む統合型リゾート施設(IR)事業をめぐる汚職事件で、衆院議員の秋元司容疑者(48)=収賄容疑で逮捕=が現金300万円を受け取ったのは、平成29年9月の衆院解散当日だったことが26日、分かった。選挙の「陣中見舞い」名目だったとみられる。贈賄容疑で逮捕された中国企業「500ドットコム」元顧問で「ブローカー」とも呼ばれる紺野昌彦容疑者(48)はIR参入を有利にするため、秋元容疑者を含めさまざまな政治家に接近、「政界工作」を主導していた。
■現金袋を直接手渡し
「地域のキーマンや政府関係者に(カジノ企業を)つなげている。IRに関連する国会議員の先生方から情報収集にご協力頂けた」。紺野容疑者は、29年8月掲載のネットメディアのインタビューで、海外のカジノ企業との関係についてこう答えていた。
関係者によると、紺野容疑者と同社元顧問、仲里勝憲容疑者(47)=贈賄容疑で逮捕=は、衆院が解散された29年9月28日、衆院議員会館の事務所で秋元容疑者と面会。2人は「『500』社からの陣中見舞い」という名目で現金の入った紙袋を秋元容疑者に直接手渡したという。
同社のIR参入に向けた「政界工作」を本格化させた紺野容疑者の最大のターゲットになったのが、仲里容疑者の人脈でつながる秋元容疑者だった。
29年8月に同社が那覇市で開いたシンポジウムで秋元容疑者に基調講演を依頼したほか、紺野、仲里両容疑者は、国土交通省の副大臣室など秋元容疑者のもとへ足しげく通った。
■256万円を関係会社へ
同年12月に秋元容疑者は「500」社のプライベートジェットで、白須賀貴樹衆院議員(44)、勝沼栄明前衆院議員(45)と広東省深●(=土へんに川)(しんせん)の同社本社へ。渡航費は、紺野容疑者関係の香港の会社に秋元容疑者の政治団体から256万円を支出したという。
白須賀氏は昨年10月から今年9月まで内閣府政務官だったが、IRは担当外。超党派のIR推進議連に名前を並べるなど秋元容疑者との関係が深い。特捜部は関係先として白須賀、勝沼両氏の地元事務所などを家宅捜索した。
さらに那覇市のシンポジウムに参加した沖縄県議や、IR誘致を計画した北海道留寿都(るすつ)村の有力村議にも頻繁に面会。計画が30年春頃に頓挫した後も、今年11月に国会議員12人を招いて会合をセットするなど政界との接触に腐心した。
■中国企業も口車に?
「500」社のIR参入に当たって多くの政治家に接近した背景には、劣勢に立たされていた状況からの巻き返しを図るという動機があったとみられる。
IR参入を表明した29年8月時点では既に欧米カジノ業者が各自治体と激しい交渉合戦を展開。カジノ運営歴のない同社は大手のカジノ運営業者と協力する必要があるが、業界関係者は「大手が既に各地で活動しており、新参の中国資本が後から入ってくるには無理筋感があった」と話す。
ある検察関係者は「中国では政府関係者に資金を渡すことに心理的ハードルが低い。『500』社はブローカー役の紺野容疑者の口車に乗せられた面もあるのではないか」と指摘した。
Source : 国内 – Yahoo!ニュース