TOKYO MX(地上波9ch)朝のニュース生番組「モーニングCROSS」(毎週月~金曜7:00~)。1月8日(水)放送の「オピニオンCROSS neo」のコーナーでは、社会学者の西田亮介さんが“政治とカネを巡る事件”について見解を述べました。
◆戦後史には欠かせない政治とカネの大事件
カジノを含む統合型リゾートを巡る汚職事件で、日本維新の会の衆院議員・下地幹郎元郵政担当大臣が、贈賄の疑いが持たれている中国企業顧問から現金100万円を受け取ったことを認めました。中国企業側は衆院議員5人に現金を渡したと供述していますが、受領を認めたのは下地氏が初めてです。
今回のような“政治とカネを巡る有り様”は、「民主主義の本質の1つである公正さとはどうあるべきかを考えるいい契機」と西田さんは言います。そして、日本の戦後史に残る政治とカネを巡る事件を振り返ります。
有名なところで言えば、1948年の「昭和電工事件」や1954年の「造船疑獄」、1957年の「売春汚職」。そして、1976年の「ロッキード事件」、1988年の「リクルート事件」、さらには1992年の「東京佐川急便事件」を挙げ、それらの事件が起こるたびに法律を変え、西田さんは「政治とカネについての透明性を高めたいと考えてきた」と指摘。なかでも、後者3つの事件は現代の選挙制度や規制を作るきっかけになったそうです。
◆政治献金を巡る規制は抜け穴だらけ!?
現在の政治献金に関する規制については、「実は大変ややこしい」と語る西田さん。なぜなら政治献金は政治資金規制法の他、公職選挙法とあっせん利得処罰法などでも規定されているそう。
政治資金規制法では、政治献金は寄付として考えられ、政治家本人への寄付は原則禁止。「政治活動に寄付することは個人も企業や労働組合なども原則としてできない」と西田さんは言います。しかし例外もあり、政党や政党支部、政治団体には可能だとか。そして、献金できる金額は個人のほうが多く、年間2000万円ぐらいまで。ただし、1人あたり150万円までとなっています。
とはいえ、政治家本人を冠とした団体に寄付したり、小口に分けて献金したり、さらには政治資金管理団体を通すことによって実質的には政治家個人に近いところに寄付できるような状況だったりと抜け道はあるそう。
さまざまな課題があるなか、西田さんが挙げた問題点は「政治とカネを巡る法律が複数に渡ってわかりにくい」こと。前述の通り、複数の法律にまたがっているため管理が難しく、「基本法のようなものがいるのではないか」と指摘。
2つ目は「政治とカネの流れが大変見にくい」こと。現状、政治資金団体については総務省と自治体管理となっているため、両者をつきあわせなければならず、「デジタル化などをして見やすくするといい」と主張します。
さらには、「政治資金規制法とあっせん利得処罰法には連座制がない」ことも。連座制がないと政治家が秘書に責任を押し付けて免れることもあり得るそうで、「それができないルールにしたほうがいい」と西田さん。
ジャーナリストの福島香織さんは、汚職は基本的にはどこの国でも政治的な陰謀論とリンクしていると話しつつ、その上で「日本の政治とカネの話はスケールが小さい」と言います。そして、そう考えると「日本人は生まれながらにして割と潔癖なところがあるかな」とも。それだけに政治とカネだけでなく、全ての面において「もっと人間を信じず、細かくきっちりと法律を作っていくと良くなるかもしれない」と話していました。
Source : 国内 – Yahoo!ニュース