学校や親が敷いた線路を走りたくない。10代はそんな思いでいっぱいでした。いい大学に入れば将来いいことがある、という考え方に反発していました。
鹿児島県立甲南高校に進学。先生のものまねでみんなを笑わせるムードメーカーでしたが、勉強はせず、脱落組でしたね。
反骨心は親友の影響もありました。彼は家が新聞配達店で、手伝いで毎朝、遅れてくる。でも数学の小テストはすらすら解き、サッカーもうまい。すごいやつ。彼もぼくも「やればできる。やらないだけだ」と根拠のない自信を持っていました。今思えば、単なる逃避ですね。
大学受験も不合格で、上京して予備校に通いましたが、3浪。親から「帰ってこい」と言われた。ぼくは東京に残りたかった。誘ってくれた友人と一緒にナベプロ(当時の渡辺プロダクション)のオーディションを受けて合格。でも、その後も試される日々でした。会議室で放送作家にネタを見せても誰も笑わない。友人はつらくなってやめた。でもぼくは「この人たちに人生を決められたくない」と思っていた。反骨心ですかね。
情報番組「ひるおび!」の司会をしていますが、2011年に東日本大震災が起きて、どう伝えたらいいか悩んだ。CMがなくなって日本中が笑っちゃいけないみたいな空気。妻に相談したら、こう言われたんです。
「世の不幸を全部背負ったみたいな顔で出演するのはやめてね。みんなあなたに励ましてほしいなんて思っていないし、あなたの一言で世の中が変わるなんて思っていないから」。それで、自分の軸足が決まったんです。分かったような顔をせず、淡々と事実を伝えようと。
自分の人生を振り返ると、出会った人たちに救われて奇跡的にここまで来た、という感じなんです。だから若い人に伝えたい。うまくいかないことがあっても慌てなくていい。仕方なくたどり着いたところにいい人がいて、何の役にも立たなかったことが急に価値を持つようになる、と。(聞き手・赤田康和)
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めぐみ・としあき タレント 2009年に始まった平日昼の情報番組「ひるおび!」(TBS系)のほか、「ワールド極限ミステリー」(同)でも司会を務める。
オススメの本
「友情 平尾誠二と山中伸弥『最後の一年』」(講談社)
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平尾さんのファンだったので亡…
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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル