名古屋大学と岐阜大学は4月に経営統合し、新たな国立大学法人「東海国立大学機構」として新年度を迎える。国立大学が県境を越えて経営統合するのは全国で初めて。それによって何が変わり、何が変わらないのか。新法人の機構長に就任予定の名大の松尾清一総長と、副機構長になる予定の岐阜大の森脇久隆学長がそろってインタビューに応じ、新しい大学の姿について語った。
名大総長の提案に「今なら」と応じた岐大学長
今回の統合は、松尾総長から岐阜大学を含む東海地方のさまざまな大学に提案がされた。その背景について松尾総長は「一言でいうと、日本の国立大学に対する危機感が日ごと強くなった」からだと切り出した。
「少子高齢化、グローバル化への対応、地域・社会への貢献などが求められる中、国立大学は今のままで機能を強化、維持できるのか。これを変えていくには一大学では無理。志を同じくする国立大学が力を合わせて社会・大学・産業のいい関係を作り直す必要がある」との思いから、一法人複数大学制への参加を呼び掛けたのだという。
それに対して「岐阜大学の側から言うと、私が学長になって3年ほどでさまざまな事業を進めていくうち、一つの大学ではその事業をさらに発展・展開させることに限界が見えてきた。地域活性化や地域連携をさらに深掘りするためには、もっと分厚い研究能力がなくてはならない。そうしたタイミングで松尾総長から統合の話があり、岐阜大学として“もうひと伸び”するいいチャンスだと思った」と森脇学長。
規模の違いから、岐阜大学が名古屋大学に吸収されてしまうのでは、という見方については「5年前ならそう見られても仕方ない面があったかもしれない。逆に5年先でも同じような見方になっただろう。今が一番、力が蓄えられている時点で、今なら大丈夫だ」という確信があったと述べた。
こうして2大学での統合協議が2018年4月から正式スタート。はじめは両学内でも不安が大きかったのは事実だが、協議を重ねて具体像が見え、それを全学説明会などで繰り返し説明した。松尾総長は「狙いはあくまで東海全体の大学がどう協力し合えるか。まかり間違っても名古屋大学が岐阜大学をのみこむというような、誤ったメッセージが伝えられたら、それで終わり。新しい法人として新しい拠点を作るにしても、両大学それぞれに作って、それぞれの特徴を生かして共同で運営しようといったことを原則に協議を進めてきた」とする。
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Source : 国内 – Yahoo!ニュース