日本有数の急峻(きゅうしゅん)な山々が連なる北アルプスをはじめ、山に恵まれた岐阜県には、たくさんの登山客が訪れる。近年、山ブームを追い風ににぎわう一方で、遭難事故も多発。天候の急な変化など厳しい条件下、県警の航空隊や山岳警備隊は「神業に近い」と言われる高度な技術を駆使して救助に向かう。
昨年8月、北アルプスの中でも随一の難所と言われる奥穂高岳のジャンダルム(3163メートル)で登山中の男性が滑落した。救助要請を受けた航空隊がヘリで現場に向かい、岩壁のすぐ近くでホバリングを開始。山岳警備隊員がロープで降下し、心肺停止状態の遭難者を見つけた。
拡大するヘリで遭難者の救助にあたる警察航空隊と山岳警備隊(2019年8月、北アルプス・ジャンダルム付近、岐阜県警提供)
しかし、まもなく天候が悪化し、現場周辺にガスが流入。視界が悪くなったため、この日は現場を離脱するしかなかった。翌朝に再び現地入りし、遺体を収容した。
岐阜県警によると、昨年、県内で84件の山岳遭難が発生し、13人が亡くなった。隣接の長野県では年間300件近く、富山県でも100件以上の遭難事故が発生。岐阜県は件数こそ少ないが、険しい北アルプスでの遭難事故が半数以上を占め、厳しい環境下での救助活動が多いのが特徴だ。
特に岐阜県側で険しい地形が続き、天候の変化も激しい。ジャンダルムもその一つだ。ヘリが山肌に近づくのは難しく、航空隊の操縦士の中でも、免許取得後10年以上のベテランしか近づくことは許されない。
航空隊と山岳警備隊が昨年8月、北アルプス・ジャンダルムで行った緊迫の5分5秒の救助動画は続きで…
航空隊を指揮する岩津宏隊長(…
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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル