TOKYO MX(地上波9ch)朝のニュース生番組「モーニングCROSS」(毎週月~金曜7:00~)。2月6日(木)放送の「オピニオンCROSS neo」のコーナーでは、税理士の中島加誉子さんが、政府が進める“所得税改革”について見解を述べました。
◆高収入の会社員らは負担増
今年1月から所得税の仕組みが見直され、高収入の会社員らの負担が増えました。これは、所得控除のうち会社員らが対象となる「給与所得控除」が縮小されることによるもの。一方、全ての納税者が対象の「基礎控除」は手厚くなり、自営業者や近年増えているフリーランスの人の多くは減税となります。
中島さんは、所得税が見直された内容を解説。今回増税の対象となるのは、年間の給与収入が850万円超の会社員や公務員、年間の所得が2,400万円超のフリーランスや自営業の人、年金収入が1,000万円超または年金以外の所得が1,000万円超の年金受給者です。
「税制改正と聞くと多くの人が増税のイメージがあると思うんですけど、数年前から進めている所得税の改正については増税させようということではない」と説明した上で、中島さんは政府が意図する3つの目的を挙げます。
1つ目の“働き方が多様化”について「今、フリーランスは労働人口の17~18%を占めていると言われていて、副業もオーケーの時代。そうした多様化に合わせようとか、フリーランスの人などを優遇する税制になっている」と解説します。
2つ目は、前述の通り「高所得者に対してはもう少し税負担をしてもらいましょう」というもの。
そして、声を大にしたのは3つ目の“公平性の確保”。中島さんが「今の所得税は公平じゃない」と指摘すると、MCの堀潤は「税は三原則、公平、中立、簡素のはずでは?」と疑問をぶつけます。
「その全部が崩れている気がする……」と中島さんは言い、加えて、今年1月からの見直しだけでは“公平さ”は「全然足りていない」と主張します。
◆所得税改革進むも不公平!?
中島さんは、今回の所得税改正に関して、会社員や公務員など給与をもらっている人、フリーランスや自営業の人、年金受給者の3つに分け、それらの違いを比較。
3者はそれぞれ給与、売上、年金という収入がありますが、フリーランスや自営業の人が領収書を集め、経費を引くのに対し、会社員や公務員、年金受給者は収入に応じて違いますが一定額差し引かれます。そして、その額は「フリーランスなどの人たちの必要経費よりも一般的に多いと言われている」と中島さん。
ただ、それも会社員や公務員はスーツや靴などを購入する経費としての意味合いがあるものの、年金受給者は経費がかからないだけに中島さんはそこを疑問視し、「年金だけで暮らす人の税負担を下げましょうという建前」と指摘。
また、所得税はそこから基礎控除が加味され算出されますが、そこにもおかしな点が。というのも、年金のみの人(65歳以上)と給与のみの人で162万円の収入があると仮定した場合、年金受給者は公的年金等控除の110万円と基礎控除の48万円が差し引かれ、所得は4万円。対して、給与のみの人は、給与所得控除55万円と基礎控除の48万円が差し引かれ、所得は59万円となり、所得税にも大きな違いが出ます。
それだけに中島さんは「公的年金等控除の110万円は、高齢者しか使えない優遇された制度。だけども年金をもらって働いている人はたくさんいる。その人たちはこの控除をダブルで取れる、それは不公平」と言います。
こうした現状を知ると、「働いて支える世代は嫌になってしまう。今の世の中に合わせた社会の公平を実現していかなければならない。400万円くらいもらっているフリーランスの人は、今回の改正で減税は2万円程度。所得税の改正はこれからもあるし、増税したいわけじゃない。“公平性”というところで見てもらいたい」と呼びかけていました。
Source : 国内 – Yahoo!ニュース