東京電力福島第一原発事故で全町避難が続く福島県双葉町で4日、「帰還困難区域」の避難指示が初めて一部解除される。放射線量が高く、立ち入りが厳しく制限されてきた場所だ。ただ今後、解除される予定の面積はわずかで、帰還困難区域の大半では解除の見通しがたたないままだ。
住めなくなって9年近くが経つ家並みが広がる。第一原発から北西約4キロにある福島県双葉町のJR常磐線・双葉駅前。14日の全線再開に向けて再建された駅舎の近くで、舗装工事が急ピッチで進んでいた。
駅とその周辺約5・6平方キロメートルは、放射線量が高い「帰還困難区域」だが、人が住めるよう除染する「特定復興再生拠点区域」に指定されている。ただ4日に避難指示が解除されるのは、駅前広場など拠点区域の0・3%にとどまる。
拠点区域の残りの避難指示が解除され、住民が戻れるのは2022年。駅周辺に住宅団地や商業施設などを集め、その5年後には約2千人が暮らす――。町はそんなイメージを描く。
4日には、線量が比較的低い「避難指示解除準備区域」の浜野・両竹地区(約2・2平方キロメートル)の避難指示も解除される。解除前でも事業が再開できる地域で、町が造った工業団地に昨年12月、第1号となる道路舗装材の工場が稼働した。
このほか、県内では5日に大熊町、10日には富岡町でも、常磐線の全線再開にあわせて帰還困難区域内の駅や駅前道路などの避難指示が解除される。
「故郷喪失の慰謝料」
国は原発事故後、13年8月までに福島県内の11市町村の避難区域を再編し、放射線量が高く、帰還の見通しがたたない地域を帰還困難区域と定めた。全町民約7千人が町外に避難した双葉町では、全体の96%がこの区域となった。
町民には東電から土地や建物の賠償のほか、「故郷喪失の慰謝料」として1人あたり700万円が支払われた。伊沢史朗町長は「(慰謝料を受け取ったことで)もう町には戻れないと考えた住民が多かったかもしれない」と話す。
状況が変わったのは14年8月…
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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル