札幌弁護士会の高田英明弁護士に聞く
契約期間が限られる有期労働契約で働く人は、全労働者の3割ほどと言われています。臨時や季節的な仕事で、契約期間が終われば仕事がなくなるようなケースもありますが、契約が何度も更新されて、正社員と同じような仕事をしていたのに突然契約を打ち切られる「雇い止め」も少なくありません。違法な雇い止めに遭った時、どうすればいいのでしょうか。労働法に詳しい札幌弁護士会の高田英明弁護士に聞きました。(聞き手 杉本和弘)
雇い止め、解雇、派遣切りとは
――まず、雇い止めの定義について教えてください。
法律的に雇い止めとは、有期労働契約の期間満了に際して、使用者が労働者との契約の更新をしないことをいいます。本来的な有期契約の場合、その期間だけで労働契約も終わるのが原則ですので、これ自体はおかしなことではありません。契約期間中であるのに使用者が労働契約を一方的に解消する解雇とは違います。
「派遣切り」という言葉を耳にしたことがあると思いますが、これは労働者の派遣先が派遣元との契約を打ち切ることをいいます。派遣労働者が雇用契約を結んでいるのは派遣元の方ですので、使用者が契約更新しない「雇い止め」とは異なります。派遣労働者の場合は、派遣元と派遣先との3者の契約状況を把握する必要があります。
1年以上勤めていたら、解雇予告は30日前まで
また、厚労省は有期契約労働者に不利益とならないように、契約の締結、更新及び雇い止めに関する基準を設けています。主なポイントは
<1>契約締結時において、期間満了後の更新の有無を明示する
<2>更新3回以上や1年を超す継続勤務をしている有期労働者の契約を更新しない(雇い止めする)場合は、満了日の30日前までに予告しなければならない
<3>雇い止めの理由を明示する(更新しない理由について労働者が使用者に請求できる)
などです。
雇い止めが問題になるケースは
――どういう場合に、雇い止めが問題となるのでしょうか。
先ほどお話ししましたが、基本的に有期労働契約は期間満了によって、終了するのが原則です。ですが、有期労働契約が何回も更新されるなど長期にわたって契約が継続されているケースなどなら、話は違います。
<1>実質的に期間の定めのない無期契約と同様であると評価される場合
<2>使用者の言動などから、労働者が有期契約の更新について客観的かつ合理的な期待を抱くような場合
などは、期間満了での契約終了は労働者にとって大きな不利益となります。そこで、労働契約法(19条)で雇い止め制限の規定が設けられているのです。
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Source : 国内 – Yahoo!ニュース