生後12日で「息子」になった赤ちゃんを、夫妻は毎日写真に撮り続けた。259日目に別れは訪れた。
特別養子縁組を前提に生まれたばかりの赤ちゃんを引き取りながら、実母の翻意で不成立になった夫妻がいる。男児は1月に実母の元に返された。特別養子縁組の制度を見直した改正民法は4月に施行されたが、実親の同意を巡る問題は残っている。
さいたま市に暮らす堀彩香さん(32)が「母」になったのは、昨年4月29日だった。2日前に連絡があり、急いでチケットを買ってあっせん元の九州の病院に飛んでいった。2414グラムで生まれたという小さな息子は、髪のくせの感じが夫の恭平さん(33)に似ている気がした。抱くと看護師から「おめでとうございます」と声をかけられた。
実母は40代。育てられる経済状態ではないとして特別養子縁組の承諾書に署名し、「お願いします」と言って退院したと聞いた。
息子と一緒に5日間病院で過ごし、ミルクの後のげっぷの出し方、おむつの替え方、おふろの入れ方など世話の仕方を教えてもらった。迎えにきた恭平さんと3人で帰宅した。
拡大する昨年8月にとった息子の手形と足形。アルバムに大切に貼ってある=さいたま市、大久保真紀撮影
彩香さんは卵巣の病気を患い、…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル