東京・池袋で昨年4月、車が暴走して12人が死傷した事故で、妻子を亡くした松永拓也さん(33)が16日、実名を初めて明かし、動画を公開した。19日で発生から1年。「誰にもこんな思いをさせたくない。事故防止の活動をしたい気持ちが強くなった」と述べ、「命が守られる交通社会にする決意を表明したい」としている。
事故は昨年4月19日午後0時25分ごろ発生。松永さんの妻真菜さん(当時31)と長女莉子(りこ)ちゃん(同3)が亡くなった。車を運転していた旧通産省工業技術院の飯塚幸三・元院長(88)が自動車運転死傷処罰法違反(過失運転致死傷)の罪で在宅起訴された。
松永さんは動画の中で、病院で2人の遺体と面会した際、「手を握るとあんなに温かかった手は傷だらけで冷たくなっていた」と振り返った。こうした事故は「正直なところ他人事だと思っていた」と明かし、「誰もが被害者にも遺族にも加害者にもなり得る。だからこそ、ながら運転、あおり運転、飲酒運転などはしないようにしてほしい」と語りかけた。
さらに、「真菜と莉子は確実に私とともに生きていた。しかし、今はもうこの世にいない。これが交通事故の現実です」とし、「身近な人を愛するように愛のあるやさしい運転をお願いします」と呼びかけている。
動画は「池袋自動車暴走事故から1年―遺族としての想い」とのタイトルで、14分ほど。動画投稿サイト「ユーチューブ」で閲覧できる(https://youtu.be/wlu0K3TSpbo)。(河崎優子)
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル