新型コロナウイルスの感染拡大の影響を受け、多くの公演が中止や延期に追い込まれています。「STAY HOME」の意識が広まるなか、自宅で楽しめるDVDやCD、放送や配信などから「秀逸な一点」を選び、各界の方々が語る新企画「私の逸点」を始めます。
初回は、宝塚歌劇団出身の俳優・彩吹真央(あやぶきまお)さん。舞台で演じた伝説のミュージカル俳優、ジュディ・ガーランドの作品から、今こそ見たいお気に入りの映画を紹介します。公演中止が続く宝塚歌劇への思いも。
◇
こんなときだからこそ、明るいコメディーのミュージカル映画「サマー・ストック」はいかがですか。「オズの魔法使」で知られるジュディ・ガーランドが主演する1950年の映画です。相手役は「雨に唄えば」のジーン・ケリーで、スター同士の共演はとても見ごたえがあります。
ジュディといえば「虹の彼方に」が有名ですが、劇中の「Get Happy」もまた彼女の十八番。「悩みごとを忘れて、幸せを呼び寄せよう。ハレルヤと叫ぼう」という歌詞の力強さにひかれます。
黒いソフト帽に黒いジャケット、脚をみせるスタイルで歌い踊るジュディが、とにかく粋で格好いい! 宝塚歌劇の男役がソフト帽をかぶる格好良さとはひと味違って、大人の女の色気というんでしょうか。ジュディ自身のコミカルな部分やかわいらしい部分も、帽子の奥に感じられます。
幼い頃から第一線で活躍した彼女でしたが、薬物依存にも悩まされ、47歳という短くも濃い人生を駆け抜けました。私は宝塚を退団後、2度、ジュディの生涯を描く舞台「エンド・オブ・ザ・レインボー」で主演しました。
舞台のラストのせりふで「どう…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル