日本国憲法が施行されたことを祝う憲法記念日の5月3日、安倍晋三首相が改憲派の民間団体が開いたオンライン集会にビデオメッセージを送り、「緊急事態条項」や自衛隊の明文化などを盛り込んだ憲法改正を求めた。
安倍首相は、安倍首相はジャーナリストの櫻井よしこ氏らが共同代表を務める「美しい日本の憲法をつくる国民の会」などが主催したライブ中継にビデオメッセージで参加した(全文は末尾に掲載)。
新型コロナウイルスへの対応に当たる中で、「緊急事態において国民の生命や安全を守るため、国家や国民がどのような役割を果たし、国難を乗り越えていくべきか、そして、そのことをどのように憲法に位置付けるかについては、極めて重く、大切な課題である認識した」と語った。
また、3年前の集会で「2020年を新憲法施行の年にしたい」と語ったことに触れ、「残念ながら実現にはいたっていない。先の参議院選挙において、われわれ自民党は国民から『憲法改正の議論を前に進めよ』との力強い支持をいただいた」「必ずや皆さんとともになし遂げていく」と語った。
改憲には高いハードル
現段階では2021年9月までとみられている安倍首相の任期内に改憲を行うには、極めて高いハードルがある。
安倍首相はビデオメッセージで「(2019年の参院選で)国民から『憲法改正の議論を前に進めよ』との力強い支持をいただいた」と述べた。
確かに自・公の連立与党は参院選で議席を過半数を維持したものの、安倍政権下での改憲に前向きな「改憲勢力」全体の数は、改憲の発議に必要な3分の2を割り込んでいる。
また、公明の山口那津男代表は改憲に慎重な姿勢を維持しており、4月30日に「憲法の課題はしっかり落ち着いて議論することが重要だ」と述べ、牽制している。
そして政権が今、国民から最も求められている課題は、新型コロナの感染拡大対策と、それによって起きる経済低迷への対策だ。さらに、1年延期された東京オリンピック・パラリンピックの再準備も行う必要がある。
五輪の開催は、国内でコロナ対策を奏功させ、各国でも国境移動の安全が確保されるようになることが前提となる。
任期内の改憲を行うとすれば、こうした対策と準備を成功させて2021年7月に五輪を開き、さらに同年9月までに衆参両院での議論と国民投票を含む改憲手続きを終えるという綱渡りのスケジュールとなる。
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Source : 国内 – Yahoo!ニュース