国家公務員の定年の年齢を引き上げる国家公務員法の改正関連法案が、国会で審議されている。その中に含まれる検察庁法の改正案に対し、SNS上で強い抗議の声が上がっている。5月9日から10日にかけてTwitterでは「#検察庁法改正案に抗議します」というハッシュタグを付けた投稿が470万件以上投稿された。きゃりーぱみゅぱみゅさんら著名人も抗議の声を上げた。こうした声を受け、5月11日の衆議院予算委員会の集中審議では、野党からこの検察庁法改正の撤回を求める追及が相次いだ。【BuzzFeed Japan / 千葉雄登】
経緯を振り返る
国会で審理されているのは、国家公務員の定年を65歳に引き上げることに伴い、国家公務員法や警察法をはじめとする約30の関連法の一括改正案だ。
その中に、検察官の身分などを規定した「検察庁法」が含まれている。
いま63歳の検察官の定年を65歳に延長する。検事正(各地域の検察のトップ)など幹部職は63歳で退く「役職定年」も導入する。一方、特別な理由があると政府が認めた場合は役職定年を延長する、という内容の改正案だ。
検察官の定年延長をめぐっては、2020年に入り国会で議論が続いてきた。
発端は検察ナンバー2の黒川弘務・東京高検検事長の定年が、閣議決定による法律の「解釈変更」で延長されたことだ。
黒川検事長は本来、63歳となる誕生日の2月7日に退官する予定だった。しかし、1月31日、検察官の定年延長を認めるべく法解釈を変更するという閣議決定が行われた。
特定の検察官の定年を延長するのは、史上初めてだ。なぜ、黒川検事長の定年だけを延長したのか。
黒川氏は過去に法務省大臣官房長として秘密保護法を担当し、その後は法務事務次官になるなど、安倍政権と近い関係にあると指摘されている。そのため野党側は、定年延長の背景に黒川氏を検察トップの検事総長に据えることで、政権に不利な捜査を進めさせない狙いがあるではないか、と批判していた。
「日本最強の捜査機関」と呼ばれる東京地検特捜部が手がけたリクルート事件など、検察が政界の汚職を捜査して膿を出す機能を担ってきた歴史があるからだ。
そんな中で提出された今回の検察庁法改正案を含む一括法案は、5月8日に与党が強行する形で審議が始まり、早ければ13日にも採決となる。
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Source : 国内 – Yahoo!ニュース