韓国保健福祉省は11日、ソウルのナイトクラブで2日に発生した新型コロナウイルスの集団感染をめぐり、計86人の感染が確認されたと発表した。韓国では、6日に感染防止策を緩和したばかり。日本では14日にも緊急事態宣言の一部解除が見込まれているが、「コリア・レポート」編集長の辺真一氏は「日本も他山の石とし、油断大敵だともう一度、自覚するべきです」と指摘した。
新型コロナウイルス対策の「模範国」とされた韓国で再び集団感染が発生し、第2波到来の懸念が高まっている。
集団感染は2日、ソウルの繁華街で客や従業員約1500人以上が集まったナイトクラブで発生。体調不良を自覚していた男性(22)=6日に感染確認=がマスクなしで密閉、密集、密接の「3密空間」を訪れたことで一気に拡大した。男性は当夜、複数のクラブやバーなど計5軒の飲食店をハシゴしており、客らと濃厚接触したとされている。
連休中に現場のクラブを訪れ、入店名簿に記入した客約5500人のうち3000人以上と連絡が取れていない。現場は同性愛者が集まる場所として知られ、偏見を恐れてウソの連絡先を書いた人も多数いるが、インターネット上では男性の行動への批判に乗じて性差別も起こっている。
文在寅大統領が10日に「我々はK防疫で世界をリードする国になった。世界の手本になると確信している」と高らかに宣言したとおり、韓国は4月に入ってソウル市内で陽性者ゼロを連日記録するなど感染拡大を抑えている。4月下旬にはクラブなど一部店舗の営業制限を緩和し、6日には感染防止策を日常生活を送りながら実施する「生活防疫」に緩和したばかりだった。13日から学校も順次再開する予定だったが、今回のクラスター発生を受け、1週間の延期を決めた。
辺氏によると、集団感染が発生したクラブにいた客による2次感染が国内各地で起き始めている。辺氏は「たった一人の行動で、全て『後の祭り』になる恐ろしさが分かりました。日本も他山の石とし、油断大敵だともう一度、自覚するべきです」と指摘する。
日本では14日以降、特定警戒都道府県以外の34県で非常事態宣言の解除を前倒しすることが検討されている。感染症学を専門とする日本医科大学の北村義浩特任教授は「自粛をやめるならば、個人も店舗も、より手洗い、マスク着用、ソーシャル・ディスタンスを徹底しないといけません」とした上で、「これ以上の越境対策もおそらく不可能。外に行く側も、受け入れる店舗の側ももっと厳しくならないと同じようなことが起きる可能性は高い」と警鐘を鳴らした。
報知新聞社
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