新型コロナウイルスの感染拡大で休校が長引くなか、困難を抱えた家庭の子どもたちのリスクが高まっている。家にいる時間が長くなり、おなかをすかせたり、虐待を受けたりする子どもたちを、どうしたら守れるのか。SOSを受け止めようと、支援者たちは家庭を訪問したり、居場所を開放したりしている。
「元気?」
平日の午後5時過ぎ、東京都内の公立中学校の養護教諭が、生徒の住むアパートのドアをノックして声をかけると、ドア越しに「うん」という声が聞こえた。コン、コン、コンと3回ノックするのが合図だ。
教諭はキャベツ、ニンジン、タマネギ各1個とソーセージ2袋、豚の細切れ300グラムが入ったレジ袋を置き、次の生徒の家へ自転車で向かった。
この日の行き先は、一人親家庭の生徒3人の家。親が精神疾患やアルコール依存症を抱え、生活が苦しい。勤務する中学は一斉休校以降、家庭訪問はせず電話で生徒とやりとりしている。だが教諭は、3人が心配で食料を届けることにした。夏休みに給食がなくなったとき、日に1、2食しか食べられず、やせてしまったのを見てきたからだ。
週に1回の訪問だが、どの子も家にいる。「待ってくれている」と養護教諭は感じる。「育ち盛りの子どもたちには全然足りない。けれど、だれかが気にしているよとわかっていてくれたら」
【子どものための主な相談窓口】 NPO法人「チャイルドライン支援センター」が運営する「チャイルドライン」0120・99・7777(毎日午後4時~9時)、文部科学省の「24時間子供SOSダイヤル」 0120・0・78310、NPO法人「児童虐待防止協会」の「子どもの虐待ホットライン」 06・6762・0088(祝日を除く月~金曜、午前11時~午後4時)、「児童相談所全国共通ダイヤル 189」(24時間)
家に居場所のない子どもたちの…
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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル