現在、将棋界には170人の現役棋士がいる。対局姿だけ見ていれば、その人柄はなかなか知れるものではないが、いざ話してみれば多様なキャラクターの持ち主であることがわかる。ビッグタイトルの一つ、竜王の経験者である糸谷哲郎八段(31)もまた、個性豊かな棋士だ。失敗談を聞いただけでも、なかなか耳慣れないものばかり。棋士仲間も驚き、笑うようなものが相次いだ。
糸谷八段は、プロ将棋界初の団体戦「第3回AbemaTVトーナメント」に参加する12チームのリーダーの一人として参加。ドラフトで指名した高見泰地七段(26)、都成竜馬六段(30)とチームを組んだ。3人の結束力を高めるために行われた企画では、3人からそれぞれ好きなもの、ライバルなどが語られる中、大学院にまで進んだ高学歴棋士からは、思わぬ失敗談が飛び出した。
「人生の汚点」というトークテーマで、糸谷八段が「たくさんあり過ぎて困る」という中から選んだのは、先輩棋士に向けた痛恨の“一手”だ。「実名はアレですが」と伏せた形で語り出した内容は「棋士の先生だと知らずに、ただのおっちゃんだと思って話しかけた」こと。「先生に『トイレどこですか』と初対面で聞いた」と苦笑いでもしないと明かせないものだった。礼に始まり礼に終わる、勝っても負けても騒がずといった将棋の世界では、先輩後輩の関係に大事なもの。どこかの施設の関係者と間違えたかなど定かではないが、“おっちゃん”と間違えたことを後で気づいた時には、さすがに大きな体で冷や汗をかいたことだろう。
最近やらかした「恥ずかしいこと」は、多くのファンが見守る放送対局でのものだ。「順位戦の中継がある中で、コーヒーを飲む時にくしゃみが出てしまって。そのまま吹きこぼしてしまって、相手に笑われたんですよ」。これには対局者も思わず笑いがこらえられなかったという。「座布団交換するのを、中継環境でやったんですよ。昔なら対局中にやっても、誰も気づかなかったのに、今はカメラがあるから何万人に『こいつコーヒーこぼして座布団換えてやがる』って思われた」のは、将棋界の中でも非常に珍しいハプニングだと言えるだろう。
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Source : 国内 – Yahoo!ニュース