大阪、京都、兵庫の3府県で緊急事態宣言が解除されて初の週末となった23日、飲食店などへの休業要請も大幅に緩和され各地の繁華街では人通りが増えた。大阪・ミナミでも会社員や家族連れの姿が見られたが、訪日の観光客が通りにあふれた以前のにぎわいにはほど遠い。飲食店でも感染防止に向けた新たな営業方法への模索が続く。
「久々に店でゆっくりと飲めてうれしい」。大阪・道頓堀で、たこ焼きや串カツといった大阪名物が楽しめる「くれおーる道頓堀店」を訪れた神奈川県厚木市の男性会社員(27)は笑顔を見せた。出張で来阪したといい、「首都圏と違って人の多さに驚いた」と語った。
同店は、大阪府などに宣言が発令された翌日の4月8日から休業。今月16日から再開したが、休業要請に従って営業時間を短縮していた。23日からは、午前11時~午前0時の通常営業に戻り、運営会社社長の加(か)西(さい)幸裕さん(39)は「ようやく心の底から『いらっしゃいませ』が言える。まずは国内旅行者を呼び込みたい」と意気込んだ。
同店では、入店時の検温や手の消毒のほか、2メートル間隔で席を離して1人でたこ焼き作りを楽しむ「ソーシャルディスタンスひとりタコパ」もスタート。大阪市住吉区の自営業、福井雄一郎さん(31)は「人との距離が求められる中で、安心して食べられます」と話した。
大阪市中央区の居酒屋「天秤棒 千日前本店」も23日、通常の午前3時閉店に戻したが、マネジャーの柴田宏樹さん(36)は「様子を見ながら、途中で営業を切り上げることも考えている」と明かす。
普段であれば満席になる午後7時ごろも、客の姿はまばら。「通常営業に戻れるのはありがたいが、団体客の予約は6月半ばまでなく、今月はまだ厳しい状況が続くだろう」と話した。
グリコの看板で知られる道頓堀周辺。川沿いのベンチで、夕涼みをする家族連れの姿も見られ、「日常」が戻りつつある。
一方で、道頓堀川から南へ延びる戎橋筋商店街などではシャッターが閉まったままの店も。同商店街振興組合の菊地正吾理事長(44)は「宣言の解除は一つの節目。街に活気が戻れば」としつつ「活気を押し上げた訪日客は当分見込めない」。自身が営む老舗婦人服店でも、感染拡大前は訪日客の売り上げが4割を占めていた。「こんなときだからこそ、訪日客以外にも満足してもらえる新たな商店街を目指したい」と語った。(小泉一敏、小川恵理子)
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