「緊急事態」が終わり、かつての「日常」が戻ってくるのか――。新型コロナウイルスの感染拡大を受け、最初に緊急事態宣言が出されてから49日。最後まで残っていた首都圏と北海道への宣言が解除された。各地の飲食店や観光地は安堵(あんど)しつつ、先行きへの不安も漏れる。国内では25日、新たに21人の感染が確認され、累計で1万6671人となった。
まずは国内客を
百貨店や高級ブランド店が立ち並ぶ東京・銀座。店舗の一部が徐々に営業を再開し始めているが、25日も人影はまばらなままだ。
銀座4丁目に本店を構える宝飾品大手ミキモトは、この日から予約制で営業を再開。広報宣伝部長の八木千恵さんは「売り上げの半分以上が外国人、とりわけ中国からだった。海外の観光客が戻ってくるのは、もう少し先になると思う」。
銀座で昨春開業したあるホテルも、宿泊客の8割以上が外国人だった。ところが訪日外国人が激減して客は大幅に減り、いまでは9割が日本人客に。当面の対策として、今後は客室をテレワークや勉強に使えるプランを打ち出すという。
国内有数の観光地・神奈川県箱根町では25日、人気スポットの大涌谷園地や各施設が今週中の再開に向けて準備を進めた。
4月から臨時休園中の箱根湿生花園では、職員が木道や林地の除草と清掃にあたった。箱根温泉旅館ホテル協同組合によると、一時は8割が休館した町内の旅館・ホテルも、少しずつ営業を再開しているという。
ただ、箱根をにぎわせていた外国人客は途絶えたまま。箱根町観光協会の佐藤守専務理事は「感染予防上の安全を確認しながら、まずは国内の方々をお迎えしたい」と話した。(西村奈緒美、村野英一)
ディズニーランドは慎重姿勢
レジャー業界も模索が続く。
「営業再開に一歩近づきうれしいが、通常営業は7月以降になる見通し」。千葉県富津市のマザー牧場の担当者は、こう話す。
4月下旬から園内を車で巡りながら羊やアルパカなどを見学できる「ドライブスルーファーム」を始めた。千葉県民限定だったが、今後は県外からも受け付けていく。「3密」を避けるため、この形式を続ける予定という。
千葉県印西市の小学2年生菊本杏(あん)さん(7)は「羊が可愛かった。次は動物たちと触れ合いたい」。母親の亜季子さん(37)は「外出しやすくなるのはありがたいが、不安もある。少しずつ日常に戻っていけたら」と語った。
東京ディズニーランドやディズニーシーを運営するオリエンタルランド(千葉県浦安市)は「千葉県の休業要請はまだ続いている。再開時期はまだわからない」(広報担当)と慎重な姿勢だ。
再開には園内の感染予防策や、…
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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル