千葉県睦沢町立歴史民俗資料館で、約100年前に大流行したスペイン風邪(インフルエンザ)に関する役場の資料3点が見つかり、30日から急きょ公開された。ワクチン不足で予防注射が遅れることなどを伝える貴重な資料だ。
同館学芸員の久野一郎さんによると、町内の旧家からこの24日に寄贈されたばかりの資料432点を点検していたところ、当時の同県長生郡東村(現在は長南町と睦沢町の一部)のスペイン風邪に関する資料が見つかった。いずれも役場から、地域の代表者である区長にあてたものだ。
一つは1920年1月21日付で、インフルエンザに関して、医師による講演会を開くので各家庭から1人は参加して欲しいと記してある。次いで同年2月7日付のものは、予防注射について、地区内で希望人数をとりまとめて報告するように求めている。1人分のワクチン代は7銭と記されている。3番目が同年2月16日付で、ワクチンの製造が間に合わないので、予防注射が遅れることを伝えている。
久野さんによると、スペイン風邪は1918年から1920年まで流行したが、地域での記録はあまり残っておらず、睦沢村史(1977年発行)や長南町史(1973年発行)にも目立つ記載はない。それだけに、「今回の資料は非常に貴重。多くの人に見てもらいたい」と、再開したばかりの同資料館で急きょ展示することにした。問い合わせは同館(0475・44・0290)へ。(稲田博一)
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル