新型コロナウイルスの感染拡大に伴う緊急事態宣言が解除されて初めての週末を迎えた30日、東京都心では百貨店で開店待ちの行列ができるなど、繁華街に活気が戻り始めた。ただ“大人の街”銀座は、感染を恐れる高齢者が外出を控えたためか“若返り”が見られた。外国人の爆買い客が消えるなど様変わりしており、識者からは「新型コロナの影響からの立ち直りが遅くなる」との声も上がった。
銀座三越は午前10時50分に開店。銀座四丁目交差点に面した入り口から、開店待ちの行列が約100メートル延びていたこともあり、当初予定していた午前11時の開店を10分早めた。マスク姿で駆けつけた人々は、フェースシールド姿のスタッフの声に従い、消毒液を手に取って、サーモカメラによる検温を経て入店。入り口脇に設置されたおなじみのライオン像も、三越のロゴが入ったマスク姿でお出迎えした。
緊急事態宣言の発令を受けて4月8日から休業しており、53日ぶりの営業再開。港区の女性(75)は「やっと開いてくれた。3日に1回は来ていたので、いつ開店するか待ちわびていた」と再開を喜んだ。
首都圏で最後まで休業を続けた三越伊勢丹ホールディングスの百貨店はこの日、6店が再開。銀座三越の向かいにある時計台で有名な高級宝飾店の和光も再開。人出も戻り、銀座の街は一気に活気づいた。
人出が戻った一方で、訪れる人の年齢層にも変化が見られた。1882年(明15)創業で日本最初のステッキ店「タカゲン」の女性従業員は、往来を観察しながら「人は戻ってきたけど、若い人ばかりの印象。ウチの常連さんのような年配の人が少ない」とこぼした。
一方、中央区在住の70代女性によると「以前はよく見かけた中国人観光客がいない」という。日本政府は中国や米国、英国など100の国・地域からの入国を原則拒否している。銀座でよく見られた、高級ブランドの紙袋をいくつも手にしたような外国人の“爆買い客”の姿はない。
流通アナリストの渡辺広明氏は「客層の変化については、年配の人の方が感染を恐れ“銀ブラ”を控えたからと考えられる。銀座は百貨店やブランド店が多いが、コロナ禍による雇用や給与への不安から買い控えが長引けば、影響が大きい街でもある。外国人のインバウンド需要も見込めない。一部富裕層は離れないだろうが、それだけでは持たない。高い土地代、賃料は復調の足かせになる。立ち直りには少し時間がかかるだろう」と指摘。銀座の街が本来の姿を取り戻すのは、まだ先になりそうだ。
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Source : 国内 – Yahoo!ニュース