ココイチ、すき家、日清…キッチンカー、被災地を走る 国もプッシュ

 能登半島地震の被災地へ大手外食や食品企業がキッチンカーを走らせ、温かい食事を無料で提供する動きが相次いでいる。避難所への派遣や受け入れをスムーズに行えるよう、自治体と企業のマッチングに政府が乗り出してもいる。 1月下旬、大手カレーチェーン「カレーハウスCoCo(ココ)壱(いち)番屋」のキッチンカーがやってきたのは、24人が避難する石川県七尾市の能登島地区コミュニティセンターだ。量や辛さの希望を社員が聞き取り、ご飯をよそった容器のふたの上に温かいレトルトパウチを載せて渡す。 受け取った人々は「ありがとう」と笑顔に。「お父さんの分は山盛りで」と頼む女性もいた。近くの避難所にいる人の分も合わせ、用意した110食をすべて渡し、この日の活動を終えた。 パウチに入ったまま渡すのは、あとで再加熱して食べることもできるからだ。かつてはルーをご飯にかけて提供したというが、東日本大震災や熊本地震などを経て、衛生面などからこの形に落ち着いたという。アレルギー持つ子 「これなら食べられる!」 カレーを提供した社員は普段…この記事は有料記事です。残り958文字有料会員になると続きをお読みいただけます。※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません能登半島地震1月1日午後4時10分ごろ、石川県能登地方を震源とする強い地震があり、石川県志賀町で震度7を観測しました。被害状況を伝える最新ニュースや、地震への備えなどの情報をお届けします。[もっと見る]Source : 社会 - 朝日新聞デジタル

輪島塗、復活への一歩 創業200年の老舗が商品の出荷再開

 石川県輪島市で輪島塗の製造販売を手がける老舗のが、在庫の出荷を本格的に再開し、伝統工芸品復活への一歩を踏み出している。7代目の桐本泰一さん(61)は「もう一度、輪島のものづくりを発信していきたい」と意気込む。 1月31日午後2時過ぎ。市内にある同店の工房で、桐本さんが段ボール箱を軽トラックに積み込んでいた。 「よし、完全出荷、再開」 満足そうに一言つぶやくと、スマートフォンで写真を撮り、市中心部の宅配業者の拠点へと急いだ。 この日は、日本橋三越本店(東京都中央区)にある直営店などに向け、約270個の漆器を出荷した。 創業200年以上の歴史を持つ同店は、3年前、現在の場所に工房を移転した。耐震設計されていたことが幸いし、建物の応急危険度判定は青の「調査済」。商品も散らばりこそしたが、壊れることなく無事だった。 被災後、商品の状態などを確認し、1月7日にオンライン販売を再開した。全国から応援メッセージとともに注文が相次いだという。宅配業者が事業者向けの配送を再開するまでは、急ぐ商品だけを、七尾市や金沢市まで片道2時間ほどかけて持ち込んでいた。 多くの販売店や職人が被災し、日本を代表する伝統工芸品の輪島塗は、存続が危ぶまれる。 「輪島キリモト」も、家を失った職人がおり、水道も復旧していないため、新たな商品の製造は再開できていない。 桐本さんは「僕は昭和世代の『よっしゃ頑張れば何とかなる』っていうタイプの人間だけど」と言い、こう続けた。 「今は力強く旗を振るのではなく、被災し一人一人の職人さんと相談し、いいものをつくろうという気持ちを絶やさないようにすることが大事だと思う」。長い道のりだが、少しずつ元に戻したいと考えている。(関田航)Source : 社会 - 朝日新聞デジタル

ふつうに違和感、語感が違う「スタジオ感」 はやり言葉は嫌いなんだ

記者コラム「多事奏論」 編集委員(天草)・近藤康太郎 九州だけでなく、最近は東京でも読者相手に講演や文章塾を開く。最後の質問コーナーで追及されることがあり、剣呑(けんのん)である。先日は「東京を飛び出したのはいいが、いつまで九州にいるんですか。北海道とか孤島に行ったら?」「好きなことばかりして、なぜ朝日をクビにならない? わたしならクビにする」。答えに窮する質問は、政治家にならい、総合的に判断して論点をすり替える。 東京・町田の文章講座では、20代の女性が、読者の作文を読み上げるアシスタントをしてくれた。講座が終わり、感想を聞くと「ふつうにおもしろかったです」。邪気のない笑顔であった。 「あのさ、若い人はよく『ふつうに○○』っていうけど、あれ、どういう意味なのかなあ」 「期待していなかったけど、意外におもしろかったって意味です」。悪気のない笑顔であった。ふつうに傷ついた。 わが私塾で、人間離れした大食らいでカネのかかるギャル原(28)が、わたしの記事を読み「かなりおもしろかったです」と、よく感想を送ってくる。おそらく「か」にアクセントを置かず、語尾を上げて読むのだろう。あまり続くので「あのさ、語感が違うんじゃねえの? 可なり=非常にとまではいかないが、並一通りを越える程度であること」。 若者にとって「かなり」は「非常に」と同等かそれ以上。「とても、だとキモい」らしい。ギャル原の解説である。 語感が、違う…この記事は有料記事です。残り787文字有料会員になると続きをお読みいただけます。※無料期間中に解約した場合、料金はかかりませんSource : 社会 - 朝日新聞デジタル

町長9日目で震度7襲った原発の町 防災訓練「機能せず、想定甘い」

被災首長に聞く ~能登半島地震から1カ月~ 能登半島地震で最大震度7を記録した石川県志賀町。県内で唯一、原発が立地する町で陣頭指揮にあたったのは、就任からわずか9日目の稲岡健太郎町長(46)だった。 ――前町長が汚職で辞任し、町議から町長に立候補し、初当選してまもなくの発災だった。 発災時は自宅にいて、子どもや親戚たち20人ぐらいで書き初めをしていたときだった。すぐに役場に出た。こんな大災害を経験するのは、どの首長も初めての経験だと思うので、そこに戸惑いは感じなかった。 ――目下の課題は。 まずは断水の解消、住まいの確保、そして事業者を含めたなりわいの再建。水道は、上水は着実に通水が進んでいるが、下水は調査段階。農業集落排水もあるので、復旧に向け、てこ入れに取りかかっている。 応急仮設住宅は200戸以上必要とみている。県と連携し、建設用地の確保を進めるが、候補地には観光地もあり、仮設を建てていいかという悩みもある。 ――事業再建では、能登最大の工業団地「能登中核工業団地」(32社、約1千人雇用)がある。 水を使う企業が多いので、全国から給水車に来てもらって対応したが、自助で対応しているところもある。企業が撤退にならないよう、対策を進める。 ――災害ごみの対応を行う専門チームの立ち上げをいち早く示した。 熊本地震で被災した益城町から助言があった。心配なのは、町全体の災害ごみ処理費を試算して頂いたら、町の年度予算(一般会計150億円前後)を超える約200億円と出た。財政面での支援を求めたい。記事後半では、町に立地する原発について聞きました。 ――トラブルが相次いだ北陸…Source : 社会 - 朝日新聞デジタル

妻子の棺の間に布団を敷いて眠った 地震の後、止まったままの時間

 会社員の角田(かくだ)貴仁さん(47)は毎日、妻子と同じ部屋で寝ていた。 一人息子で小学3年生の啓徳(あきのり)さん(9)を毎晩、寝かしつけていた。 「1人で寝られるから大丈夫だよ」 忙しい角田さんを息子は気遣ってくれた。 妻の裕美さん(43)も一緒に、家族3人で布団を並べる。眠る前、気持ちよさそうな息子の寝顔を見る。 それが、当たり前の日々だった。能登半島地震で、その妻と息子を失った。 葬儀までの約10日間。葬儀場に置かれた2人の棺(ひつぎ)と棺の間に布団を敷いて、川の字になって眠った。 「2人は私の家族。家族は常に一緒でなきゃならない、と思って。そばを離れたくなかったんです」 元日。金沢市内の自宅から石川県珠洲市の角田さんの実家に家族で帰省していた。 昼過ぎ、家族で神社に行っておみくじを引き、「みんな金運がいいね」と笑い合った。 金沢に帰る準備を始めていた夕方、地震が起きた。平屋建ての実家は倒壊。角田さんと両親は外に出られたが、妻と息子の姿が見えない。 「裕美!」「啓徳!」 名前を叫ぶと、それに応えるように、倒壊家屋の中から何かをたたく音がする。 「パン、パン、パン」 息子が居場所を教えようとしたのか、倒壊家屋の中でがれきをたたいていた。 音がする方に近寄った。「伝…Source : 社会 - 朝日新聞デジタル

朋優学院41.28倍が倍率最高 東京都の私立高入試、中間応募状況

2024年2月3日 12時00分 東京都は2日、都内の私立高校の2024年度一般入試の中間応募状況(1月29日正午時点)を発表した。全日制180校の平均倍率は2・95倍(前年同期2・62倍)だった。 都私学行政課によると、2万633人の募集人員に対し、6万967人が応募した。倍率は共学が3・34倍、男子校が3・71倍、女子校が1・11倍。 倍率が最も高いのは、共学は朋優学院(普通科)の国公立TGコースで41・28倍、男子校は明治大学付属中野(同)の7・43倍、女子校は慶応義塾女子(同)の6・59倍。 各校の願書受け付けは1月25日から始まった。9校10学科(募集計150人)は同29日時点で募集を始めておらず、今回の応募人数には含まれていない。各校の倍率は都のホームページで確認できる。有料会員になると会員限定の有料記事もお読みいただけます。※無料期間中に解約した場合、料金はかかりませんSource : 社会 - 朝日新聞デジタル

能登まで届け 水上恒司さんら復興を願う豆まき 大阪・成田山

滝坪潤一2024年2月3日 12時30分 節分の3日、大阪府寝屋川市の成田山不動尊で節分祭があり、能登半島地震の被災地復興や大阪・関西万博の成功を願って豆がまかれた。交通安全の寺院として知られているが、毎年、時々の出来事についても祈願している。 午前の豆まき式では、NHK連続テレビ小説「ブギウギ」に出演する俳優の水上恒司さんと伊原六花さん、上方落語界最古参の桂福団治さんらが全長150メートルの特設舞台に登場した。万博の公式キャラクター「ミャクミャク」も参加し、「福は内」のかけ声に合わせて、境内の大勢の参詣(さんけい)者へ豆をまいた。 特設舞台には「能登半島地震 被災地復興祈願」と書かれた看板が設けられた。福豆の売り上げの一部は義援金などに充てるという。(滝坪潤一)有料会員になると会員限定の有料記事もお読みいただけます。※無料期間中に解約した場合、料金はかかりませんSource : 社会 - 朝日新聞デジタル

高速道路の渋滞予測、頼りはデータと経験 担当社員が明かす回避策は

 高速道路を管理するNEXCO3社(東日本・中日本・西日本高速道路)の各支社には、渋滞の予測を専門とする社員がいる。中国地方を走る中国道や山陽道などの渋滞予測を担うのは、NEXCO西日本中国支社の「渋滞予測士」樋口尚吾さん(33)。どのように予測を立てているのか、どうすれば渋滞を回避できるのか、話を聞いた。 NEXCO西日本は、渋滞について次のように定めている。時速40キロ以下での走行や、止まったり発車したりを繰り返す車列が、1キロ以上かつ15分以上継続する状態のことを渋滞と呼ぶ。日付と曜日一致の過去年を参考 渋滞予測には、これまでの渋滞情報がいきるという。 直近の傾向だけでなく、日付と曜日が一致する過去の年のデータを参考にする。 新幹線や飛行機の予約率など…この記事は有料記事です。残り851文字有料会員になると続きをお読みいただけます。※無料期間中に解約した場合、料金はかかりませんSource : 社会 - 朝日新聞デジタル

燃えかすに多数の苦情、花火大会を中止に 中断期間中に新築住宅増え

吉田博行2024年2月3日 8時40分 徳島県鳴門市は、今年夏の「鳴門市納涼花火大会」を中止すると発表した。市によると、コロナ禍を経て昨年、4年ぶりに花火大会を復活させたが、中断期間中に会場周辺に新しく住宅が増え、落ちてくる花火の燃えかすに多数の苦情が寄せられたためという。市は代替会場を探し、来夏の開催をめざす。 鳴門市の花火大会はコロナ禍前の2019年まで、市内を流れる撫養川沿いの親水公園で打ち上げられ、夏の風物詩として長年親しまれてきた。 一方で、会場周辺の住宅や道路、車などに花火の燃えかすが飛散するため、以前から実行委員会のスタッフやボランティアが花火の翌朝に清掃活動を続けてきたという。 コロナ禍で花火大会が中止された20~22年に、会場周辺で新築住宅が増加。昨年8月に花火大会が開かれると、地域住民から「屋根の上のソーラーパネルに燃えかすが落ちたのでは」「車にしみがついた」といった苦情が相次いだという。 主催する鳴門市と鳴門商工会議所、市うずしお観光協会は対応策を検討してきたが、改善策は見つからず、今月1日の実行委員会の会合で中止を決定。来夏に向けて、地域住民に迷惑のかからない新たな会場を探すことにした。 市観光振興課によると、昨夏の大会では約7千発の花火を打ち上げ、約5万5千人が眺めを楽しんだという。 担当者は「花火大会を将来にわたり続けていくため、燃えかすによる被害がなく、交通や警備などの開催条件に合う新たな場所を時間をかけて検討する」としている。 1日の実行委では、昨夏、4年ぶりにJR鳴門駅周辺で開いた鳴門市阿波おどりを、8月9~11日の3日間の日程で今年も開催することが決まった。(吉田博行)有料会員になると会員限定の有料記事もお読みいただけます。※無料期間中に解約した場合、料金はかかりませんSource : 社会 - 朝日新聞デジタル

仏教の聖地・高野山に現れた「まちづくり会社」 改革を進める狙いは

カンサイのカイシャ ここがオモロイ! 世界遺産の高野山(和歌山県高野町)に2020年、「まちづくり会社」ができました。文化財の紹介にVR(仮想現実)を取り入れ、若い女性らを意識してスイーツ販売も充実させました。仏教の聖地として知られる荘厳な宗教都市でなぜいま、「まちづくり」なのでしょうか。 「上から見ると、仏像がどう安置されているかがよく分かります」。高野山デジタルミュージアムに設けられた「VRシアター」。250インチのスクリーンにTOPPANホールディングス(旧凸版印刷)の技術で立体的に映し出された仏像を見ながら、スタッフが語りかける。 壇上伽藍(がらん)と呼ばれる地域の西塔や根本大塔を映像で巡り、解説を聞く。著名な「奥之院」以外の地域にも関心を持ってもらい、観光客らの滞在時間を延ばす狙いがある。 ミュージアムのカフェでは紀州南高梅を使った精進だし茶漬け、精進カレー、もなか、蜂蜜のラテなどを取り扱う。お土産として、地元企業のごま豆腐なども販売する。 運営するのは、まちづくり会社「DMC高野山」。観光業を底上げするため、全国の地銀から資金を集めたファンドが出資する新参者の会社だ。大田原博亮社長(56)は「当初は『何をしに来たの?』という雰囲気はあった」と振り返る。 大田原さんは岩手県平泉町な…この記事は有料記事です。残り929文字有料会員になると続きをお読みいただけます。※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません#KANSAI近畿の魅力を再発見する新企画。社会・経済から文化・スポーツまで、地元愛あふれるコンテンツをお届けします。[もっと見る]Source : 社会 - 朝日新聞デジタル