大みそか、池袋の食料配布に343人が列 物価高で「死活問題」

2023年12月31日 20時51分 生活が苦しい人たちに向けた無償の食料配布会が31日、東京都内で開かれた。コロナ禍の影響を抜け出せない人に加え、物価高も家計に重くのしかかり、利用者数は高止まり。大みそかのこの日は、343人が並んだ。 年末年始は、日雇いの仕事がなくなり、行政機関の窓口も閉まることから、各地で様々な支援団体が炊き出しや相談会をしている。 豊島区の東池袋中央公園では、ホームレス状態の人たちを支援するNPO法人「TENOHASI(てのはし)」が400食の弁当を用意した。 配布開始の3時間前から並んでいた新宿区の男性(75)は「毎日生きるのに必死なので、炊き出しはありがたい」と話した。 「生活保護ではやっていけない」とパートでビル清掃の仕事に就くが、左足のけがが悪化して思うように動けなくなってきた。「体中痛いけど、収入を減らすわけにはいかない」と嘆いた。 生活保護を受ける荒川区の男性(55)は、「物価高が心配」と漏らした。少しでも安い食料品を探して、日々都内のスーパーを巡っているという。「食料品の値上がりは死活問題。政府は早く対策してほしい」 同法人の清野賢司事務局長は「コロナ禍は収まったはずなのに、炊き出しに来る人数は高止まりしている」と話す。 2023年の食料配布の利用者数は平均540人で、コロナ前の19年の3倍以上。コロナ禍で仕事を失った人などが継続して訪れているという。 てのはしは1月2日は午後5時から東池袋中央公園で医療・生活相談と弁当配布を、3日は午後9時30分から池袋駅前公園でおにぎりを配る予定。有料会員になると会員限定の有料記事もお読みいただけます。 【お得なキャンペーン中】有料記事読み放題!スタンダードコースが今なら2カ月間月額100円!詳しくはこちら Source : 社会 - 朝日新聞デジタル

実施地区の減少続く男鹿のナマハゲ 受け入れ望まぬ家増加 続く模索

 「怠け者はいねぇが~」 昨年の大みそかの夜。秋田県男鹿市の各地で、大きな声が響いた。声の主は山の神の化身とされるナマハゲ。ユネスコの無形文化遺産に登録され注目を集めたものの、実施する地区は減っており、模索も続く。 午後7時前。男鹿市脇本の大倉地区の住宅で家族とナマハゲが向き合った。「テレビゲームばっかりやってないか? ユーチューブばっかり見てないか?」とナマハゲ。子どもが答えに詰まると、家族が「頑張ってますから」といって、ナマハゲに酒が振る舞われ、飲み干すと次の家へと向かった。 ナマハゲに扮し、地区内の約40世帯をまわった吉田和仁さん(40)は「今年も無事に終わってホッとしている。喜んでくれた家も多かったようで、よかった」と話した。 「男鹿のナマハゲ」は、山の神の化身のナマハゲが大みそかの夜に里におり、家の中や玄関先で大声を出したり、戸をたたたりして災いや厄を払い、怠け心を戒め、新しい年の家内安全や無病息災、豊作豊漁を祈る民俗行事だ。 市内にある資料館「なまはげ館」の解説員、太田忠さん(70)によると、1811(文化8)年に菅江真澄という紀行家が男鹿半島を訪れ、実際にナマハゲを見たという文献資料が残っており、江戸時代以前に始まった行事と考えられている。2018年、「来訪神:仮面・仮装の神々」の行事の一つとしてユネスコ(国連教育科学文化機関)の無形文化遺産に登録された。 映画にもなった「泣く子はいねぇが」というフレーズや、怖がって泣きじゃくる子どもの様子がテレビで流れると、県外から「子どもがかわいそう」と苦情がくることもあるという。 太田さんは「子どもには泣けば許してもらえるという『甘え』もある。すぐ泣かず、強い人間になってほしいとの意味も込められているそうです」と説明する。 地元の農協や様々な商品に名前やイラストが使われるなど浸透しているが、各地の伝統行事と同様、ナマハゲの担い手となる若者不足に悩まされている。男鹿市によると、18年末には市内92の町内会が実施したが、23年末に「実施予定」と答えたのは68だった。 市では面や衣装を更新・補修する際の費用を一部補助するなど負担軽減を図っているものの、実施する地区が減っている背景には受け入れを望まない家が増えている事情もあり、一筋縄ではいかない面もある。 大倉地区でも10年ほど前に一度途絶えたが、吉田さんたちの世代が18年に復活させた。「年末がしまらない。みんなが集まる機会がなくて、さみしいね」。そんな気持ちからだった。 ナマハゲは面や衣装、作法などが地区ごとに細かく決まっている。「まずはやっていくことが大事。正式な作法はおいておこう」と吉田さん。手探りで復活させた。「もしガラスを割ったら呼んでもられなくなるから」と、戸は強くたたかない。「嫁は一番早く起きてるか?」といった嫁や子に昔ながらの役割を押しつけるような「時代錯誤なことも言わない」という。 再開後、孫が「ナマハゲを見みたい」と年末に来るようになったと喜んでくれる一人暮らしの高齢者も複数いる。吉田さんは言う。 「最後は『来年もまめでろよ(元気でな)』って帰ってくる。イベントやお祭りみたいな感じでもいいじゃないですか」(岩田正洋)Source : 社会 - 朝日新聞デジタル

ベトナム語で、タイ語で…外国人の暮らし サポートするサイト開設

 福岡県内で暮らす外国人に、医療や教育、就労など暮らしに必要な情報を多言語で届けようと、県は26日、ポータルサイトを開設した。生産年齢人口が減少するなか、「暮らしやすさ」をアピールし、外国人を呼び込みたい考えだ。 サイト名は「FUKUOKA IS OPEN」(http://www.fisop.net)。対応言語は日本語と英語をはじめ、ベトナム語、中国語(繁体字、簡体字)、韓国語、ネパール語、タイ語。県内で人口が多い国・地域の言語を中心に選んだという。 外国語で診療している医療機関や医療に関する24時間体制のコールセンターなどを紹介するほか、就職意欲がある留学生と企業とのマッチングサイト、学校での日本語指導体制、外国で生まれ育った人向けの県立高校入試の特例制度なども紹介している。 また、西日本短期大学で働く…Source : 社会 - 朝日新聞デジタル

5秒が変えた心と景色 駅の停車時間延長 ソフトなバリアフリー

 5秒。 わずかな差が、余裕をもたらす。 繁田あす香さん(27)がいつもの通勤風景の変化に気づいたのは、1年ほど前のことだった。 新静岡駅(静岡市葵区)でバスを降り、静岡鉄道に乗り換えて、職場に近い狐ケ崎駅まで通勤している。利用するのは午前9時台。この8年半、変わらぬ習慣だ。 いつものように、車両のドアが開くと同時に飛び出していく人。しゃべりながら並んで歩く人。 続いて、ベビーカーを押してホームに出る人がいた。なんだか普段より落ち着いているように見えた。 「あれ? ドアが開いている…Source : 社会 - 朝日新聞デジタル

サウナは自分でつくる! 大学講師から転身、北極圏で性能テストも

 2023年の1月下旬。仙台市の佐藤啓壮(けいぞう)さん(55)は、サウナ発祥の地・フィンランドの凍った湖の上にいた。 零下15度の外気に凍えながら、自身が開発したサウナ専用のテントと薪(まき)ストーブの「性能評価」を試みたのだ。ストーブにシラカバの木をくべると、30分後、テント内の室温は100度を超えた。噴き出す汗。 「うふぁあ~~~」 雪の上に寝転ぶと声が出た。 「北極圏で性能を試した日本のサウナ用テント。他にはないでしょう」。そう笑う佐藤さんは、サウナ用品を開発する合同会社の代表だ。モットーは「とにかくおもしろいことをしたい」。 出身は宮崎県。理学療法士の資格を持つトレーナーとして、自動車大手企業などでモータースポーツ選手らを支えてきた。世界最高峰のヨットレース、アメリカ杯の日本チームにも帯同した。 東北との縁は2008年。リハビリテーション学科を設けた東北福祉大に専任講師としてやってきた。その後、東北大の特任講師として、動作解析センサーを使った次世代健康器具の開発などに関わった。職人やエンジニアと仕事をするうちに身についた知識と技術が、のちにサウナ作りに生かされた。 16年、高齢者の運動機能を改善する自身の研究に興味を持ったフィンランドの大学に招かれた。湖畔に点在する公衆サウナへ足を運んだ。薪ストーブの柔らかい熱と、シラカバの香り漂うスチーム。我慢比べをする雰囲気もなく、男女一緒にたわいない言葉を交わす。湖につかり、ほてった体を冷ます。サウナの後は、ビール片手にソーセージを焼いて塩分を補給。体も心もほぐれ、至高のリラックスを体験した。 「おじさんが威張って座っている」というサウナのイメージが180度変わった。 やがて世界はコロナ禍に突入。毎年通ったフィンランドへも足止めされた。「ロウリュ」で変形しないストーブを 仕方ない。自然の中で楽しむ…Source : 社会 - 朝日新聞デジタル

息子が割ったグラス、怒らなかった父 「ゴジラ」にも生かされた機転

 札幌を拠点に「レタッチャー」として活動している大谷キミトさん。 レタッチ(retouch)とは、「加筆」や「修正」を指す英語だ。 写真などの画像データを目的にあわせて加工したり、修整したり。 専用ソフトで細部を加工するだけでなく、全体の構成から手がけることもある。 最近では映画「ゴジラ-1.0(マイナスワン)」のポスターやカタログに使われるキービジュアルを担当。 全世界興行収入が100億円を突破した話題作とあって、新たな仕事の依頼も続々と寄せられるようになった。 そんな大谷さんが自宅で作業していた今年7月。 帰宅した小学4年生の息子が、いつものように牛乳を飲もうと冷蔵庫を開けた。 「ガチャーン」という音がして振り返ると、グラスが細かな破片になって床に散らばっていた。 牛乳を注ごうとして手が滑ったらしい。幸いにもケガはないようだ。 粉々になった破片を見て、こう思った。 怒ったり注意したりよりも…Source : 社会 - 朝日新聞デジタル

トロフィーのタスキ、弟子が継いだ遺志 箱根往路V校に贈る寄木細工

 お正月の箱根駅伝で往路優勝校に贈られるトロフィーとメダルは長年、ひとりの寄木(よせぎ)細工職人の手で生み出されてきた。 新春、第100回記念大会を待ち望みながら亡くなった職人の遺作が、箱根の山を上った先で勝負を見届ける。 昨年7月、82歳で亡くなった金指勝悦(かなざしかつひろ)さん。江戸時代後期から「寄木細工の里」として知られる神奈川県箱根町畑宿(はたじゅく)に生まれた。 職人の道に進むと、年中休みなしで制作に没頭。午前7時に起きて工房に行き、午後9時に帰るような生活だった。妻のナナさん(65)は「寄木と結婚したんじゃないかというくらい」と苦笑いする。 勝悦さんは「無垢(むく)作り」という技法で知られた。異なる色合いの木を接着して断面に模様を作り出した木の塊から、ろくろで立体作品を削り出す。 その腕を買われ、第73回大会(1997年)から往路優勝校に贈られるトロフィーの制作を任されてきた。 こだわりは世相を反映することだ。藤井八冠や鬼滅をヒントに 明るいニュースが飛び込んでくるとテーマを変えて作り直すこともあった。「いろんな大学に自分の作品を置いてもらえたらうれしい」と、学生たちがしのぎを削る箱根駅伝を毎年とても楽しみにしていたという。つなぐ、つむぐ 箱根駅伝100回2024年1月2日、箱根駅伝は100回大会を迎えます。残り500㍍での棄権、異例の1年生主将、繰り上げを避けた7秒の戦い……。伝統のトロフィーを作った職人秘話も。様々な「箱根」を取材しました。 第94回大会(2018年)は、将棋で29連勝した藤井聡太さん(現・八冠)や、永世七冠の羽生善治さんの活躍から着想を得た。第97回大会(21年)はアニメ「鬼滅の刃」をヒントに、人を食らう鬼と戦う登場人物と新型コロナウイルスと戦う人類を重ねた。 トロフィー制作を始めた当初…Source : 社会 - 朝日新聞デジタル

18歳の新成人106万人、前年より6万人減 過去最少を更新

 2024年1月1日現在の新成人人口(05年生まれの18歳)が106万人で、前年の18歳と比べると6万人減少したとの推計を総務省がまとめた。新成人人口は過去最少を更新した。また、24年の「年男・年女」となる辰(たつ)年生まれの人口は、推計1005万人。 成人年齢は22年4月1日から18歳に引き下げられた。新成人は男性55万人、女性52万人で、総人口(1億2413万人)に占める割合は0・86%。 辰年生まれは男性488万人…Source : 社会 - 朝日新聞デジタル

岐阜市で住宅火災、焼け跡から1人の遺体 同居の長女と連絡とれず

 31日午前7時半ごろ、岐阜市上芥見の自営業、宮田明和さん(66)方から出火し、木造2階建て約104平方メートルがほぼ全焼した。 岐阜中署によると、焼け跡から性別不明の1人の遺体が見つかった。同居する長女(40)と連絡がとれないといい、同署が遺体の身元の確認をしている。 宮田さんは無事で、同居する孫(16)は外出中だった。Source : 社会 - 朝日新聞デジタル

富山空港に「回る寒ぶり」 年末年始、そっくり模型で冬の味覚をPR

 空港でおいしいPR――富山の冬の味覚「寒ぶり」が、富山空港の国内線到着手荷物受取所のターンテーブルをぐるぐる回る。実は本物そっくりの模型だ。年末年始を富山で過ごす人たちの目を引いている。正月の1月8日まで。 模型は長さ約1メートル。28日に初めて登場した。地元産のネタを使った極上ずし「富山湾鮨(ずし)」の模型も以前から回る。富山県航空政策課の担当者は「ちょうど、氷見の寒ぶり宣言も出たばかり。ぜひ富山で地元の鮮魚を召し上がってほしい」と、話している。(平子義紀)Source : 社会 - 朝日新聞デジタル