「私なんか常に自粛生活」脳性まひの暮らし揺さぶったコロナウイルス 「優しさのベールかぶれなく…」(withnews)
外出自粛や、休校、望んではいなかったけど始まった在宅勤務――。新型コロナウイルスによってたくさんのことが制限されています。いま、新型コロナに揺れる社会は、日常を制限されることも多くある障害者の目にはどう映るのでしょうか。障害者の日常をコラムにした「障害マストゴーオン」(イースト・プレス)の著者で、脳性まひを持つ福本千夏さんに書面で聞きました。(朝日新聞withnews編集部・金澤ひかり)【マンガ】手話通訳者、コロナ会見でマスクしないのは… 「命がけで通訳してくれてんのや」 「諦める」のは慣れていたけど ――緊急事態宣言が発令され、「不要不急の外出を控えてください」と政府から要請があるなど、多くの人がこれまで送ってきた日常生活とは異なる毎日を送っています。 「ほんとうにその外出必要ですか?」なんて問われてもね。不要不急なんて言われたら私なんて存在自体問わなくてはいけなくなる。笑でも、「自分さえ自分を見捨てなかったらいい!」と。まあ、もともと一人暮らしの移動が困難な障害者は、自粛だのなんだのと言われるまでもなく、常に自粛生活だったわけです。私は、キャバレーどころかネットカフェとやらにも行ったことがない。――「常に自粛生活」、重い言葉です。福本さんはいま現在、どんな生活を送られていますか。 うふふっ、重い言葉ですか?でも、確かにコロナウイルスによってまずいかな?って思うことも出てきた。通販はものすごくありがたい。でも、それだけじゃ厳しいかな。靴の修理や、ドライヤーなどの小型電化製品を買うとき。微妙な重さやボタンの位置は自分の足や手で確かめざる得ない。目を守る「度なし眼鏡」もね。あとATMでの現金引き出しも、ヘルパーさんや友人には頼めない。…あっ薬!前回はかかりつけなので電話でお願いできたんですよ。これからどないなっていくんやろー。いやー「諦める」には慣れていて、常に自粛生活していたはずなんですが……私、困ってるやん?! ひとりでいる、目に見えない恐怖 ――実際にその場に行かないとできないこと、結構ありますよね。 それに、ひとりで家にいる時間も長い。目に見えない恐怖を一人でやり過ごさなきゃいけない。私は脳性まひの体や顔の緊張、言語障害があって、心臓も肺も心も強くない。かかったことがないのでわかりませんが、コロナに感染したら重症化するリスクは高いと、どうしても思ってしまいます。想像するだけで水も飲み込めず、むせるわ咳き込むわの大騒ぎ(笑)。口がうまく閉じられず、マスクも物の一時間で唾液でぼとぼと。かえって衛生面に問題が生じてるやん?と思いながら、付けています。――特に高齢者や障害者などにとっては重症化リスクは今回、懸念されます。 そんな私の実態を知らない方が多い「世の中の風」に吹かれるのも今は怖くて…。2月頃は「もーう、気にしすぎ。焼肉でも食べに行こう。違う景色に身を置いたら、気も張れる」と連れ出してくれていた息子や友人も、今は、電話だけよくくれています。「ちなっちゃんの言葉、(電話でも)だんだんわかるようになってきた」って面白がって楽しんで言葉を交わせるのはうれしい。だけど、会いたい人に会えない・会わないのはやっぱりつらいです。 次ページは:支えあっての「生きていかんとあかん!」 【関連記事】 Source : 国内 - Yahoo!ニュース