はじまりは10年前。毎日パニックだった今ではフェイスブックやインスタグラムに子供のお弁当や料理の写真をアップしたりして、料理男子にカテゴライズされている僕ですが、きっかけは追い込まれて仕方なく、でした。10数年前、ふたりめの子供が生まれて職場復帰した妻が、早朝から勤務するセクションに異動になったんですね。僕は編集という仕事柄、朝はゆっくりめだったので必然的に、では朝は担当します、ということに。起きたらまず洗濯機を回し、ご飯の支度をして長男と長女を起こし、食べさせ、保育園へ。家に戻ったら洗濯物を干して食器を洗って出勤、というサイクルです。こう書くと模範的ですが、もう毎日パニックです。それまではまあ、保育園への坂道をベビーカーを押しながら、つらくて泣きそうになっていたくらいへなちょこな父で。もちろん子育てや家事もやってはいたつもりでしたが、よく世のお母さんたちが怒る「だったら私がやったほうが早いんだけど」「はあ? 手伝うって何? 分担だよね」というレベルでした。料理はもちろん男料理! レシピにある通りの食材、調理器具がないとダメで、凝った料理を作り、後片付け無し。結局、二度と使わないようなスパイスだけが増えていく……。そのくせ、市販の調味料は多用していて、保育園のママ友に「あのメーカーの生姜焼きのタレはいいよね」と料理男子風に自慢げに話して、「え、タレって醤油とみりんとお酒で出来るよ」と引かれたこともありました。 問題解消のヒントはレストランにあり そんなレベルでしたが、唯一救いがあったのは「メニューのイメージだけは豊富にある」ということです。ほぼ毎日レストランで食事をしているので、あらゆる料理の完成形のビジュアルだけはインプットされている。それが武器でした。お店の料理というのは、お客さんを喜ばせることを考えて作られています。だからそれを家庭に応用しようと。まずは、せっかく作ったのになかなか食べ切ってくれない朝食をどうするか? この問題の解決には、渋谷「コンコンブル」のワンプレートランチをイメージすることにしました。田中オーナーシェフが機内食にヒントを得て作ったもので、主菜、スープ、サラダ、パンが一皿にのる、行列のできるメニューです。今までと同じ量でも、ワンプレートに盛ることですぐ食べられそう! と思ってくれるのではと考えたわけです。さっそく、無印良品で3つの仕切りがある690円の角皿を購入。そこにお椀型のご飯、魚か肉、野菜を盛り付けました。あとは味噌汁ですね。単に視点を変えてみただけなんですが、コンパクトになった上に、なんだか楽しそうな雰囲気も出たことで、残さず食べてくれるようになりました。他にも苦手な食材をなくす、という意味でレストラン料理は参考になります。スペイン料理の2つ星「サンパウ」で、牛の各部位少しずつを一皿にして、一頭食べた気分を味わう、というのを思い出して、レバーやタン、肉を一緒に盛って「ほら一頭丸ごとだ!」と出したこともありました。長女はレバーが苦手でしたが、こうすると喜んで食べてくれるんですね。もちろんどれも、本物とは似ても似つかないのですが、発想のヒントにはなるわけです。盛り付けは縦に高くすると美味しそうになる、といったこともレストランの料理から学びました。 次ページは:妻から突然の「包丁を使わないで」通告 【関連記事】 Source : 国内 - Yahoo!ニュース
5 ans Il y a