Japonologie

パワハラ否定してきた宝塚歌劇団 解決急いだ事情と合意への「留保」

 昨年9月末の劇団員死亡から半年。歌劇団は、上級生によるパワハラを認めることに、消極的な姿勢をとり続けてきた。 11月14日、外部弁護士による調査チームの報告書を公表し、「長時間に及ぶ活動などで心理的負荷がかかった可能性は否定できない」として管理責任を認める一方、死亡した劇団員へのパワハラやいじめは「確認できなかった」と主張。会見の場で村上浩爾・専務理事(現理事長)が「(パワハラだとするなら)証拠となるものをお見せいただきたい」とも発言した。 これに対し、遺族側は強く反発。死亡の原因として、上級生によるパワハラがあったとする事実を認め、謝罪するよう求めた。 歌劇団側と遺族側による面談は11月下旬から始まったが、話し合いは難航した。トップスター頂点とした序列と指導 パワハラ認識にズレ 歌劇団はトップスターを頂点とした序列が各組にあり、5組それぞれ80人ほどが結束して舞台をつくる。その中で上下関係の徹底した指導法がとられてきた。 パワハラをめぐる認識にも、一般社会との乖離(かいり)は否めなかった。歌劇団を運営する阪急電鉄の関係者は「芸を極めるには少し厳しいこともやるでしょう。それを愛ととるか、いじめととるかは、立場によって見方が違う。それをどう判断すればいいか、困っている」と漏らしていた。 2度目の話し合いで幹部や上…Source : 社会 - 朝日新聞デジタル

鈴木直道北海道知事、パワハラ疑惑の長谷川岳氏に電話申し入れ

 長谷川岳参院議員が札幌市職員に暴言を吐いたり、過重労働を強いたりしたとされる問題で、北海道の鈴木直道知事は28日、長谷川氏に電話をして「適切に対応すべきではないか」と申し入れたことを、定例会見で明らかにした。長谷川氏は「申し訳ない」などと謝罪したという。 鈴木知事によると、週刊文春が公開した音声を確認したうえで、28日の昼ごろに鈴木知事から電話をしたという。一方、道職員も長谷川氏から同様の対応を受けたかどうかについては、「報告は受けておりません」とした。 また、鈴木知事は自らの執務中の言葉遣いについても触れ、「一生懸命ですね、仕事を前に進めようという気持ちが非常に強い中で、厳しい言葉遣いになるということは、私自身もあの反省しなきゃいけないと思う」と述べた。(松尾一郎)Source : 社会 - 朝日新聞デジタル

映画「オッペンハイマー」日本公開前に試写 被爆地を知る人の見方は

 原爆を開発した米国人物理学者の半生を描いた映画「オッペンハイマー」が、29日から日本で公開される。原爆を落とされた広島、長崎の惨状を伝える描写がないことに批判がある一方、アカデミー賞7部門で受賞するなど世界で注目を集めている。被爆地であった試写会などで鑑賞した人はどう受け止めたのか。(寺島笑花、黒田陸離、花房吾早子) 「率直に反発を感じた」。長崎であった試写会を終え、被爆者の川野浩一さん(84)は、そう述べた。 オッペンハイマーが原爆投下後の被害を知って苦悩する場面はあったものの、被爆者の苦しみはほとんど描かれなかった。川野さんは「基本的には米国の勝者の喜びが表れていた」と捉えた。「彼らの歓喜の半面、広島・長崎でどんな悲劇が起きたか。観客には、今なお苦しみ続けている人々に思いをはせてほしい」 一方、被爆者で医師の朝長万左男さん(80)は「オッペンハイマーのセリフの中に、被爆の実相にショックを受けたことが込められていた」と評価する。 昨年11月、朝長さんら長崎…Source : 社会 - 朝日新聞デジタル

新任の年齢上限撤廃や任期の延長… 保護司の担い手確保へ見直し案

久保田一道2024年3月28日 18時10分 刑務所を出た人たちの立ち直りを支える保護司の担い手を確保するため、政府の有識者会議は28日、制度の見直し案を公表した。原則66歳以下としてきた新任の年齢上限を撤廃し、任期を2年から延長することなどを盛り込んだ。さらに検討を重ね、年内にも最終報告書をまとめる方針。 保護司は、刑務所を出た人たちと定期的に面接して相談に乗ったり、就職先を探したりして社会復帰を支え、再犯を防ぐ。2023年1月時点で全国に4万6956人いるが、70歳以上が4割近い。高齢化や担い手不足が深刻化する中、法務省は23年5月、現役の保護司や研究者らによる検討会を設置し、持続可能な制度のあり方を議論してきた。 28日に公表した中間試案は、原則66歳以下としてきた新任の年齢上限を、25年度に撤廃することを提案した。若い対象者との世代間ギャップを軽減するためのルールだったが、定年を引き上げる企業が増えていることを考慮した。 また、長期的な視点に立って活動してもらえるように、任期を2年から3年程度に延長。原則は76歳未満、一定の条件を満たせば78歳未満まで認めてきた再任の年齢上限を見直すかどうかも検討するとした。 保護司の担い手は、退任する保護司らによる推薦を主流としてきたが、限界があるとして、自治体の広報誌などを通じた公募を試行する。交通費などの実費だけでボランティアとして活動している現状について、「『現役世代』に保護司を担ってもらうには報酬が必要ではないか」との声もあり、報酬の導入については議論を続けるとした。(久保田一道)有料会員になると会員限定の有料記事もお読みいただけます。 【お得なキャンペーン中】有料記事読み放題!スタンダードコースが今なら2カ月間月額100円!詳しくはこちら Source : 社会 - 朝日新聞デジタル

コロナ禍で中3生、必修「武道」受けず卒業 3月末に急きょ補習

 福岡県直方市の市立直方第一中学校で、今春の卒業生84人が学習指導要領で必修とされた保健体育の「武道」を受けていなかったことがわかった。保健体育の必要時間数を満たしており卒業に影響はないが、同校は急きょ28~30日に「補習」の時間を設け、卒業生に参加を呼びかけているという。 市教育委員会によると、同校では卒業生が1、2年時、新型コロナウイルスの感染拡大防止のため、武道の実施を見送っていた。武道は防具の使い回しや発声があることから、感染リスクが高いとされていた。 学習指導要領では、1、2年時は武道を必修、3年時は球技か武道の選択制としている。生徒が3年になった昨年5月には、新型コロナは感染症法上の5類に引き下げられていたが、学校が球技を選んだため、生徒は武道の授業を受けることがないまま、今月7日に卒業した。 卒業生の保護者を名乗る人から「武道の授業が一度もなかった」との指摘が県教委にあり、25日に市教委を通じて確認したことで発覚した。同校では28~30日に計9コマ、武道の補習を行う予定という。 堀憲文教頭は「生徒や保護者に申し訳ない。高校の授業でも武道はあるので、できるだけ多くの生徒が学べる機会を設けたい」と話した。(福井万穂)Source : 社会 - 朝日新聞デジタル

Le Japon, intermédiaire revendiqué entre le Nord et le Sud global

Dans un monde où la confrontation l’emporte sur la solidarité et où l’influence des Etats-Unis…

小林製薬の回収商品製造の2社 富山市保健所が調査「被害報告なし」

 小林製薬(大阪市)製の紅麹(こうじ)原料を含むサプリメントが原因とみられる健康被害が相次いでいる問題で、富山市保健所は28日、回収対象になっている同社の3商品のうち、同市で製造され、北陸3県などで販売された2商品について、「健康被害は報告されていない」との調査結果を発表した。 市保健所生活衛生課によると、大阪市から26日にメールで調査依頼があった。回収対象の3商品のうち、バイホロン(富山市)が「ナットウキナーゼさらさら粒GOLD」を、富山小林製薬(同市)が「ナイシヘルプ+コレステロール」を製造していた。 職員1人が27日に両社を訪ね、「紅麹コレステヘルプ」と同様の健康被害が報告されていないかなど、担当者から事情を聴いた。その結果、いずれの商品でも健康被害は報告されていないことがわかったという。市保健所は「現状で問題はないとみられる」として、さらなる調査や立ち入り調査はしない方針。 厚生労働省が公開している食品リコール情報などによると、バイホロンが製造した商品は昨年12月16日~今年3月22日に広島、山口両県の地区限定品として計約60個を販売。富山小林製薬が製造した商品は昨年6月24日~9月15日に富山、石川、福井3県の地区限定品として計約40個を販売したという。岐阜県池田町の工場で製造された「紅麹コレステヘルプ」は2021年4月~今年3月に約100万個が販売されている。(樫村伸哉)Source : 社会 - 朝日新聞デジタル

東京大、元学生の博士号を取り消し データを捏造

 東京大学は27日、大学院工学系研究科の元学生に授与した博士の学位を取り消すと発表した。学位取得のために提出した論文に、不正が見つかったという。 東大によると、この学生は2009年4月~14年3月、博士後期課程に在籍し、満期退学。16年4月に博士号を取得した。 昨年2月、本人から、当時の指導教員にメールで不正の申告があった。論文の中心的な位置づけとなる部分で、実験結果の一部にデータの捏造(ねつぞう)があったという。 太田邦史理事・副学長は「極めて遺憾。再びこのような自体が生じないよう、全学を挙げて取り組む」とコメントを出した。(山本知佳)Source : 社会 - 朝日新聞デジタル

名古屋市で桜開花、平年より4日遅く 週末の暖かさで開花進む見込み

 名古屋地方気象台は28日、名古屋市で桜(ソメイヨシノ)が開花したと発表した。開花は平年より4日遅く、最速タイだった昨年より11日遅かった。 同気象台によると、2月の平均気温は8.1度と、1891年の統計開始以来2番目に高かった。ただ、3月上旬に気温が低い日が続いたことなどで、開花が遅くなったという。今週末は気温が高くなる見込みで、開花が一気に進みそうだ。 市内では、鶴舞公園や名古屋城内で桜のライトアップが始まっている。(小原智恵)Source : 社会 - 朝日新聞デジタル

坂本龍一さんの「先生」 李禹煥さんが語る晩年 けがれなき音

 坂本龍一さんが晩年に「先生」と呼んだ人がいる。最後のアルバム「12」のジャケットの絵も描いた韓国出身の美術家、李禹煥(リウファン)さん(87)。芸術家として坂本さんがどんな境地に到達したと考えられるのか伺った。 ――今の心境をお聞かせください。 僕は弟を失ったような気持ちでいます。決して長い付き合いではなかったのに、本当に古い付き合いのような感じでした。 7年ほど前、飛行機の中で映画「レヴェナント」を見ました。坂本龍一さんが中咽頭(いんとう)がんの治療直後に音楽を担当した作品です。極限状態に置かれた人間が描かれていて、音の使われ方がちょっと普通じゃなかった。 特に厳しい寒さの中の風の音が気になりました。帰国後にDVDを買って自宅でじっくり見直すと、やはり手が入っていた。どこに手を入れたか分からないくらい、ほんのわずかに。自然を呼び寄せたり、介入したりしていた。面白い。見事だなと思いました。 その頃、坂本さんの展覧会があって足を運びました。「レヴェナント見ましたよ」と会場のノートに書き残した。するとすぐに坂本さんから自宅に電話がかかってきた。びっくりしました。それからパリで開かれた僕の展覧会で流す音楽を作ってくれたり、アトリエに遊びに来たりと付き合いが始まりました。教授は、僕を先生と呼んだ 彼は僕を「先生」と呼びました。なぜ?と聞くと「先生としか呼べない」と。僕は絵や彫刻が専門です。韓国で生まれ、人文学や物理学、東西の思想などを書物などから学び、そういうところから発想してきました。「教授」と呼ばれていた彼は、同じ匂いを感じたのかもしれませんね。 僕のアトリエの茶室で彼は録音しようとしたこともあります。「何も音はないのに」と言うと「音はあるんですよ」とうれしそうに返した。1、2時間、録音するようなことをしていました。彼には音が聞こえたのでしょうね。 ――李さんと坂本さんとの表現にも共通点があったのですか? はい。僕は若い頃に日本に渡り、東西の哲学を学び、表現の世界に飛び込みました。表現は決して逃避の場ではなく、もっと次元の高い政治性や社会性というか、普遍性を持ったものになると思えたのです。 私の解釈では、思想家の吉本隆明は表現とは自己表現だと主張しました。近代的な考え方です。でも僕はそうは思いません。表現するほどの自分があるかどうかは分からないし、仮にあるとしても支配者的だったり、押しつけがましかったりする。 芸術家がキャンバスに自分の考えを描いてしまうのは面白くない。それを一度壊して、自分とそうでないもの、内と外にあるものが出会ったり、対話したりしなければならないという考えで1970年代以降ずっと作品をつくってきた。石や鉄板、ガラスを使い、破壊と組み立てることが一緒になった作品が多い。国際的にも評価され、「もの派」と呼ばれています。 坂本さんと話したり、彼が書いたものを読んだりすると、彼は「もの派」のことをしきりと気にしていました。 「自分の言葉の拡大だけでは大したことはない。それは了解事項に過ぎない。了解できない部分、届かない部分とぶつかる時に出てくる音の方がもっとすごいと気がついた」と語っていました。晩年の演奏「手とピアノの間で起こった出来事」 僕は韓国から日本に来たのでやっぱり日本は異国です。その後、米国や欧州に行っても、常に「他者」と出会い続けて表現が組み立てられてきた。「他者」に敏感です。よく「自然と一体となる」といいますが、それは言葉のあやで、なかなか一体化するものではありません。自然の音がどんなに良くても、自然そのものには入り込めない。引き寄せたり、遠のかせたり、一種の駆け引きがそこに起こるのだと思うのです。 「自分でないものがある」ことに気づくと、とても面白くなる。そして自分よりもっと大きなものがあることを知ると謙虚になります。表現が色々なものとぶつかり合い、出会い、作用し合い、気流が電流が流れるようなことが起こる。そこがAI(人工知能)やハイテクで開発したロボットの考えとの違いです。 日常生活に役立つし、便利だから使いこなせばいいのですが、AIの根は人間です。でも人間の根は、計り知れない自然にある。だからAIにばかり注目し、傾倒していくことは危うい。アートも人間に根を持つようにすべきではなく、自然に根を持つようにしなければならない。それは坂本さんと同じ考えでした。 彼の晩年のコンサートを聴いたとき、もうほとんどその音は音符通りの演奏ではなくて「自分の手とピアノとの間で起こっている出来事」のような感じでしたね。 ――2度目のがん闘病に入って、坂本さんに贈ったものがあるそうですね。 昨年の国立新美術館での僕の回顧展にも、坂本さんは来てくれました。休館日に僕が案内して、作品を前にゆっくり語り合い、1枚のドローイングを贈りました。ぐるぐる円を描いているようなものです。坂本さんが病と闘うのに、僕がいてもたってもいられなくて、何か力になりたいと力を込めて描いたものです。 オカルトでも何でもなく、絵は描き方によってはパワーを持つように描くことができるのですよ。描かれていないものと描かれているものがそこで闘うような張り合いがパワーになるのです。世界や宇宙はすべてそういう風にできていると思いますね。 人間は記号ではないし、絵も作品も生き物です。それと対峙(たいじ)するときに、吸い込まれたり、何かが立ちはだかったりする。「見たり、ぐるぐる描かれた方向へ手でなぞったりすると力がわいてくるはずだよ」と言って渡しました。少しでも彼の力になっていればと願っていました。レクイエムのよう 「12」は唯一無二だった ――最後のアルバム「12」のジャケットは坂本さんから依頼されたのですね。 はい。2022年の春を過ぎ…Source : 社会 - 朝日新聞デジタル