自衛隊に名簿を提供するのは憲法などに違反するとして、奈良市の高校生(18)が29日、同市と国を相手取り、慰謝料などを求める国家賠償請求訴訟を奈良地裁に起こした。原告弁護団によると、この問題で個人情報が提供された当事者が原告となる訴訟が提起されるのは、初めてという。 訴状によると、奈良市役所は昨年2月、高校生を含む計6419人の氏名、生年月日、性別、住所の個人情報含んだ名簿を自衛隊に提供し、自衛隊は高校生の住所に自衛官募集の案内を郵便はがきで送った。これらの行為は、プライバシー権を保障した憲法13条や個人情報保護法などに違反しているとして、精神的な苦痛を負った慰謝料など計約110万円の支払いを求めている。奈良市には情報提供を望まない人は拒否できるとする「除外制度」が設けられているが、「通知が極めて不十分」であることや、憲法19条が保障する思想・良心の自由を侵害するとして、違法であると主張している。 高校生は「自分の個人情報が自衛隊に本人の承諾もなく渡っていることがすごくおかしいと思った。はがきが届いたことは怖い」とコメントを出し、仲川げん奈良市長は「訴状が届いていないのでコメントできません」とした。(仙道洸) Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
小林製薬社長が会見で謝罪 紅麴サプリ問題、「未知の成分」は未特定
【LIVE】紅麴サプリメント問題で小林製薬が会見 小林製薬の紅麴原料を使用したサプリメントが原因と疑われる健康被害が広がり、同社製の原料を使っている企業で商品の自主回収が相次いでいる問題で、小林製薬の小林章浩社長らが29日午後2時から、大阪市内で会見を始めた。 小林社長は22日にも会見を開き、サプリの自主回収などを発表。一連の問題の発端となる情報を公にした。 その後、サプリを摂取して亡くなった人が次々と判明。問題が拡大して以降、同社が会見を開いて説明するのは初めてとなる。 同社によると、28日午後10時時点で、亡くなったのは5人、入院者は114人にのぼるという。また、亡くなった5人のうち、1人の遺族とはすでに面会を済ませ、2人の遺族とは日程の調整をしている。 会見冒頭、小林社長は「関係する皆様に不安や恐れを与えてしまった。深刻な社会問題を招いてしまったことを深くおわびいたします」と謝罪した。 一方、製品と原料の一部から検出されたとする「未知の成分」については、会社側は「構造までは見えてきた」としつつ、成分の特定には至っていないと説明。今後は、国の研究機関と協力して特定に努め、「迅速に解明を進めたい。時期については見通せない」とした。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
「本気か見せてやる」動機は金銭トラブルか 庁舎に突入の男を起訴
昨年末に茨城県日立市や東海村の庁舎が次々と狙われ、市民を震撼(しんかん)させた車の暴走事件。容疑者の男が29日、殺人未遂罪などで起訴された。捜査関係者によると、金銭トラブルが動機とみられる。法廷では、男が否認する殺意の有無などが争点になりそうだ。 捜査関係者によると、無職の益子泰(ゆたか)容疑者(54)=茨城県日立市久慈町3丁目=は事件前に家庭内暴力を繰り返し、妻から慰謝料を請求されていた。同居する70代母親の支援は得られず、自宅に出入りする福祉関係者にも「(金を出すよう)母を説得してくれ」などと頼んだが、断られたという。 昨年12月6日の事件当日。益子容疑者は、母親を助手席に乗せて車で外出中に再び金銭を要求した。母親から拒絶されると、強い口調でこう言った。 「どこまで本気で金が欲しい… Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
「卑怯になれない君の過ち」 犠牲者しのび重信房子が獄中で詠んだ歌
連合赤軍(連赤)事件で遠山美枝子(当時25)が亡くなったのは1972年1月7日だが、遺族は遺体が発見された3月13日を命日とする。その日の前後、横浜市にある美枝子の墓に毎年、かつての仲間を集めてお経を唱える僧侶がいる。 美枝子が卒業した明治大学2部の後輩、永田泰修(74)だ。美枝子とはサークル連合で一緒になった。永田は成田空港建設反対運動をしていたが、性に合わず組織には所属していなかった。「3歳上で面倒見のいい美枝子さんは何でも相談しやすかった」と振り返る。 美枝子や赤軍派メンバーらと行きつけの阿佐谷のスナックでよく飲んでいたという。 永田が美枝子と最後に会ったのは71年11月。山岳アジトへ行く直前で、赤軍派へのカンパ(支援)を求めに来た時だ。永田が有り金をすべて渡すと、美枝子は「私たちが新しい世の中をつくるから見ててね」と笑った。今もその言葉が忘れられないという。 「仲間の命を奪う革命なんかおかしい」 暴力で社会を変えようとし、行き詰まり、仲間を集団リンチで殺害した連赤事件は「閉塞(へいそく)した今のイジメ問題と構造は同じ」と永田は語る。美枝子や自分が生きた時代を孫の世代にも伝えたいという。 「愛するフー」重信房子へ宛てたエアメール 遠山美枝子がレバノン・ベイルートにいた親友、重信房子へ宛てたエアメールの中身とは? 永田は事件後に会社を起こし… Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
「自由を教えてくれた」 東北ユースから坂本龍一さんへの恩返し
坂本龍一さんは、東日本大震災の被災地の子どもや若者らによる「東北ユースオーケストラ」を設立し、亡くなる直前まで自ら音楽監督として指導にあたった。キャプテンを務めた畠山茜さん(27)は「自由に楽しみ、向き合う人に心を持って尊重する姿勢を学んだ」と語る。3月の追悼公演などへの思いを聞いた。 ――坂本さんの第一印象は? 直接お目にかかったのは、福島市内の県立高校の昇降口でした。私は高校の時のオーケストラ仲間に誘われ東北ユースのことを知り入団しました。2015年、大学1年生の時です。 翌年3月の定期公演に向けて4月ごろから月に1度、福島での練習が始まりました。まだ立ち上がったばかりだったので練習場所もなく、団員の一人が通っていた福島市内の県立高校を借りていました。冬に坂本さんがニューヨークから来てくださり、私たちは初めて対面しました。 「やっほー」 靴箱が並ぶ昇降口に、坂本龍一さんが現れました。 「こんな所に。失礼にあたるのでは」と私たちは戸惑い、心配していたのですが。 「よろしく。みんな楽しく本番までがんばりましょうね」 さらっとあいさつされ、空気が一変しました。坂本さんは、用意したイスには座らず、立ったまま。靴箱にもたれかかりながら、次の瞬間には、私たちの演奏にすごい集中力で耳をすまして聴いてくれました。 曲は、ラストエンペラーでした。 ぎゅうぎゅうの昇降口と監督と私たち 「やばい。めちゃめちゃ聞か… Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
妊娠と出産、民俗学と文化人類学から探求 松岡悦子さんに南方熊楠賞
博物学者の南方熊楠(みなかたくまぐす、1867~1941)の偉業をたたえ、民俗学や博物学といった分野で業績のある研究者に贈られる南方熊楠賞(和歌山県田辺市、南方熊楠顕彰会主催)。第34回の受賞者に選ばれた奈良女子大名誉教授(文化人類学)の松岡悦子さん(70)は自身の出産をきっかけに、民俗学と文化人類学の立場から、日本における「妊娠・出産」を探究してきた。 この賞は、熊楠の研究対象だった民俗学的分野と博物学的分野の研究者を対象に、人文部門、自然科学部門から毎年交互に選考。今年は人文部門だった。 松岡さんは大阪府生まれ。大阪大学大学院人間科学研究科で文化人類学を学んだ。旭川医科大医学部准教授などを経て、奈良女子大生活環境学部教授を2019年3月に定年退職し、現在は同大名誉教授。 選考委員会の小松和彦委員長(国際日本文化研究センター名誉教授)によると、松岡さんは、女性たちが綿々と受け継いできた、産むことや子を取りあげることをめぐる経験を主題化し、民俗学と文化人類学の立場から一貫して「妊娠・出産」にテーマを絞って研究を進めてきた。 「妊娠・出産」の当事者に寄り添いつつ、個人のライフイベントが、祝い事として社会的に意味を持つようにするには、どうしたら良いか。松岡さんの研究は、その答えを見いだすうえで必須のものとなっているという。 また、著書のほかに、論文もきわめて多く、しかも看護学や助産学、社会学など多様な分野の研究誌に掲載されていることは、松岡さんの学術的インパクトの大きさを示していると評価された。 松岡さんは受賞について、「これを機に『妊娠・出産』というテーマに焦点が当てられ、妊娠・出産・育児を女性の視点からとらえ、政策立案がなされるきっかけになるのではないか、なってほしいと期待します」とコメントした。 授賞式は、5月11日午後1時半から紀南文化会館(田辺市新屋敷町)小ホール。松岡さんが「妊娠・出産でつながる人と社会」というテーマで記念講演する。定員200人。無料。申し込みは南方熊楠顕彰会事務局(0739・26・9909)か専用申し込みフォーム(https://logoform.jp/form/nAhC/507658)。(勝部真一) Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
政治資金アプリ、「政治とカネ」に詳しい上脇博之さんと使ってみた
政治とカネの問題が高まるなか、メディアでもよく取り上げられる「政治資金収支報告書」。東京のIT企業が、政治団体の項目別収入や寄付者、パーティーの金額、資産などをデータベース化し、ウェブ上での検索機能を付けたアプリを開発した。どんな機能があり、これを使うと何が分かるのか。政治資金収支報告書チェックの第一人者で、政治とカネの問題を追及してきた神戸学院大教授の上脇博之さんと実際に使ってみた。 上脇博之(かみわき・ひろし) 1958年生まれ。市民団体「政治資金オンブズマン」代表、公益財団法人「政治資金センター」理事。著書に「なぜ『政治とカネ』を告発し続けるのか」(日本機関紙出版センター)など。自民党の政治資金をめぐる問題では、5派閥がパーティー収入を過少申告していたとして刑事告発し、東京地検特捜部の捜査につながった。 政治資金収支報告書 政治団体の収入、支出及び保有する資産などについて記載した報告書。政治資金規正法により政治団体の会計責任者らに作成・提出が義務付けられている。活動が複数の都道府県にまたがる場合には総務省、単一の都道府県内なら都道府県選管と報告先が異なる。原本の公開期間は、要旨が公表されてから3年限定。手書きでの作成も認められている。要旨、原本とも検索機能はついていない。 上脇博之(かみわき・ひろし) 1958年生まれ。市民団体… Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
東北新幹線東京―仙台駅間の運転再開 停電影響で一時運転見合わせ
JR東日本によると、29日午前5時45分ごろ、東北新幹線の大宮―小山駅間で停電が発生した。この影響で東北新幹線は東京―仙台駅間の上下線で運転を見合わせていたが、午前9時に運転を再開した。 電線に木の枝が引っかかり、列車運行に必要な電気が正常に送電されない状態になっていたという。係員が撤去し、午前8時47分に送電が再開した。 上越新幹線は通常通り運行、北陸新幹線は一部列車に遅れが出た。 JR東京駅の東北新幹線の改札周辺は午前8時半ごろ、スーツケースを抱えた旅行客やビジネスマンらで混雑していた。運転再開後も窓口にはチケットの払い戻しをする人たちで長蛇の列ができ、チケットやスマートフォンの画面を片手に今後の運行状況などを係員らに尋ねる人の姿も見られた。 午前9時半の新幹線で仙台に向かう予定だった東京都内の会社員の男性(40)は、「予約分は払い戻すが、その後に何時の新幹線に乗れるかも分からない」と話した。仙台で取引先と会った後にさらに北海道に向かう予定で、「最悪の場合、仙台には行けないかもしれない。列車の遅れは致し方ないが…」とため息をついた。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
れいに見せたかったビデオ 君の優しさと、家族の約束を胸に生きる
石川県穴水町の高田羚善(れい)さん(10)は、「シャイながら、めちゃくちゃ優しい」小学生。 ひとりぼっちの子がいたら「一緒に遊ぼう」と誘う。 いじめられている子を見たら「いじめ、だめやよ」と助けに行く。 自分をいじめた相手でも、仲間はずれになっていたら「遊ぼう」と誘う。 幼い頃から母方の実家で、母や伯父、祖父母の愛情に包まれて暮らしてきた。 元日は家族と初詣に行った後、自宅の1階で過ごしていた。 2階では伯父の中島俊博さん(38)が、羚善さんのために、ユーチューブに投稿する動画を作っていた。 動画には、海に向かう笑顔の羚善さんが映っていた。 「ユーチューバーをやってみたい」。そう願う羚善さんを驚かそうと、内緒で3年近くかけてホームビデオを編集。この日にようやく完成した。 知人だけに公開して喜ばせるはずだった。しかし、羚善さんが見ることはなかった。 元日に起きた能登半島地震は、多くの人の大切な家族を奪いました。羚善さんを喜ばせようと伯父と母が作ったユーチューブ向けの動画は、記事後半でご覧頂けます。 夕方。2階の自室にいた中島… Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
奈良・吉野山×京都・嵐山、「門外不出」の桜で750年前の絆を再び
「一目千本」と称される桜の名所、奈良県の吉野山の桜の苗を、京都・嵐山に植樹するプロジェクトが進む。かつて桜色に彩られた嵐山だが、今は山肌に山桜がぽつぽつと見られるのみ。関係者は「吉野山のような美しい桜の風景を嵐山によみがらせたい」という。 約3万本とも言われる吉野山の桜の由来は約1300年前にさかのぼる。修験道の開祖・役小角(えんのおづぬ)が蔵王権現を桜の木に刻み、吉野山に祀(まつ)った。桜は「御神木(ごしんぼく)」となり、信者らの献木で植え続けられるようになった。 鎌倉時代、吉野山の桜をこよなく愛したのが、嵐山に離宮・亀山殿を築いた後嵯峨上皇だ。かつて見た桜の美しさを嵐山に再現しようと、吉野山から嵐山に桜を運ばせて植え、愛(め)でたという。 明治以降、嵐山は「受難」 「故事を現代の嵐山によみが… Source : 社会 – 朝日新聞デジタル