「ジェンダード・イノベーション」という言葉を、最近目にする。「性差」を指すジェンダーと、「技術革新」を意味するイノベーション。どんな考え方なのか。お茶の水女子大にあるジェンダード・イノベーション研究所の佐々木成江特任教授に聞いた。 ――「ジェンダード・イノベーション(GI)」とはどういう考え方ですか。 「ジェンダードは『性差に基づいた』で、イノベーションは『技術革新や新しい価値の創造』という意味です。科学技術分野の研究や開発において、男女の分析(性差分析)を加えることでイノベーションを生み出す、という考え方です」 「科学史におけるジェンダー研究の権威、米国スタンフォード大学のロンダ・シービンガー教授が、2005年に考え出した比較的新しい概念と言えます」 ――いま「ジェンダー」という言葉は多くの場合、社会的、文化的に形成されてきた「性差」を意味します。 「『ジェンダー平等社会』というときのジェンダーは、文化的社会的につくられ、差別や偏見、固定的な役割分担意識などを生んできたものですから、それをなくして男女平等にしていこうとする考え方です。人間の半分は女性ですが、日本では、例えば閣僚名簿を見ても、企業の経営陣を見ても、女性は5割には遠い、社会的にはマイノリティーな存在で、世界的な比較からもジェンダー格差が大きいままです」 「1990年代以降、ジェンダー平等のために、政策や法律などの分野ではジェンダーの視点を入れる活動が盛んになっています。『ジェンダー主流化』と呼ばれていますが、GIは科学技術分野でのジェンダー主流化を目指したものです」 ――「GI」の「ジェンダー」も、社会的な性差という理解でいいですか。 見過ごされてきた女性 「いいえ、生物学的な性差で… Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
藤井聡太八冠が揮毫した書、掛川城に展示へ 書かれた四字熟語の意味
今年2月に王将を防衛した藤井聡太八冠が静岡県掛川市の掛川城天守閣開門30周年を記念して揮毫(きごう)した書「雲外蒼天」が、30日から掛川城御殿の三の間に展示されることになった。久保田崇市長が15日の定例会見で書を披露して発表した。 「雲外蒼天」は雲を突き抜けた先に青空が広がっていることを表す。転じて、「努力して苦しみを乗り越えれば、すばらしい未来が待っている」との意味があるという。 市では3月に王将戦第6局が予定されていたが、2月に防衛が決まったため、代わりに藤井八冠を招いて祝賀会や指導対局会などを開いた。その際、記念の書を依頼したところ、藤井八冠がこの言葉を書いたという。 掛川城は、徳川家康が攻めた際に井戸から立ちこめた霧に覆われて攻撃できなくなったという伝説から「雲霧城」とも呼ばれている。久保田市長は「藤井王将は読みが深いので、(雲霧城も想定して)文字を選んだのかもしれない。ずっと飾り、皆さんに見てもらいたい」と話した。 書は30日の記念イベント開催に合わせて展示される。(大海英史) Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
小豆島の神社、アニメコラボの御朱印 移住で宮司になった女性の挑戦
通訳ガイド・細川治子2024年3月25日 12時44分 しこく宝島 香川県小豆島の小高い丘に絶景のパワースポット、富丘八幡神社がある。長い石段の参道を登った先に社殿があり、眼下には、瀬戸内海の多島美が広がる。 神社は千年以上の歴史をもつ神社として島民に親しまれてきたが、最近、若者の姿が目立つようになった。地元・土庄町出身の漫画家・山本崇一朗さん原作のアニメ「からかい上手の高木さん」の舞台として、ファンの聖地巡礼ルートになっているのだ。今春は全編小豆島ロケのドラマや映画の公開も控えるなど、高木さん人気は広がりを見せている。 このブームを受けて、神社も動いた。アニメツーリズム協会(東京)とのタイアップでアニメのイラストをあしらった御朱印(500円)を作り、今年から参拝者に授けている。「神社に来るきっかけを作りたいと思って」と宮司の高尾美紀さん(40)は説明してくれた。女性宮司というのが珍しくて話を聞いたら、多彩な経歴の持ち主だった。 もともと神職にも島にも、ゆかりはなかったという。ジャズシンガーを目指して20歳で茨城県土浦市から上京。歌手活動をしながら東京の歓楽街・浅草エリアを再生する地域マネジメントの仕事に携わった。そこで、三社祭で有名な浅草神社と接点ができた。夏にも参拝客を呼び込む試みとして「夏詣(なつもうで)」の普及を手伝い、「神社には地域のアイデンティティーが詰まっている」と実感したという。 小豆島には観光の仕事で通ううちに人の温かさに触れ、「恩返しをしたい」と移住を決め、2020年に小豆島町の地域おこし協力隊員になった。ここでも夏詣に取り組んだことが人生の転機になった。 「宮司になる気はあるか」。後継者を探していた富丘八幡神社の宮司に打診された。「不安よりチャレンジしたい気持ちが勝り」、研修を受けて宮司の資格を取った。さらに、別の神社の禰宜(ねぎ)を務める夫の逸人さんにも出会い、結婚した。神社がまつる神のご利益か、子宝も授かった。 過疎化、高齢化が全国に先駆けて進む島で、神社をどうしたら残せるのか。高尾さんは、かつての自分のように、島のファンやリピーターといった「関係人口」を増やすきっかけを作ることが鍵だと思っている。美しいロケーションを生かした神前結婚式や、島内7社の御朱印を集める七福神めぐりツアーなど、アイデアは尽きない。「しがらみがない『よそ者』の私でしかできないことをやりたいです」。力強く語る姿が印象的だった。(通訳ガイド・細川治子) 有料会員になると会員限定の有料記事もお読みいただけます。 【お得なキャンペーン中】有料記事読み放題!スタンダードコースが今なら2カ月間月額100円!詳しくはこちら Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
小豆島の神社、アニメコラボの御朱印 移住で宮司になった女性の挑戦
通訳ガイド・細川治子2024年3月25日 12時44分 しこく宝島 香川県小豆島の小高い丘に絶景のパワースポット、富丘八幡神社がある。長い石段の参道を登った先に社殿があり、眼下には、瀬戸内海の多島美が広がる。 神社は千年以上の歴史をもつ神社として島民に親しまれてきたが、最近、若者の姿が目立つようになった。地元・土庄町出身の漫画家・山本崇一朗さん原作のアニメ「からかい上手の高木さん」の舞台として、ファンの聖地巡礼ルートになっているのだ。今春は全編小豆島ロケのドラマや映画の公開も控えるなど、高木さん人気は広がりを見せている。 このブームを受けて、神社も動いた。アニメツーリズム協会(東京)とのタイアップでアニメのイラストをあしらった御朱印(500円)を作り、今年から参拝者に授けている。「神社に来るきっかけを作りたいと思って」と宮司の高尾美紀さん(40)は説明してくれた。女性宮司というのが珍しくて話を聞いたら、多彩な経歴の持ち主だった。 もともと神職にも島にも、ゆかりはなかったという。ジャズシンガーを目指して20歳で茨城県土浦市から上京。歌手活動をしながら東京の歓楽街・浅草エリアを再生する地域マネジメントの仕事に携わった。そこで、三社祭で有名な浅草神社と接点ができた。夏にも参拝客を呼び込む試みとして「夏詣(なつもうで)」の普及を手伝い、「神社には地域のアイデンティティーが詰まっている」と実感したという。 小豆島には観光の仕事で通ううちに人の温かさに触れ、「恩返しをしたい」と移住を決め、2020年に小豆島町の地域おこし協力隊員になった。ここでも夏詣に取り組んだことが人生の転機になった。 「宮司になる気はあるか」。後継者を探していた富丘八幡神社の宮司に打診された。「不安よりチャレンジしたい気持ちが勝り」、研修を受けて宮司の資格を取った。さらに、別の神社の禰宜(ねぎ)を務める夫の逸人さんにも出会い、結婚した。神社がまつる神のご利益か、子宝も授かった。 過疎化、高齢化が全国に先駆けて進む島で、神社をどうしたら残せるのか。高尾さんは、かつての自分のように、島のファンやリピーターといった「関係人口」を増やすきっかけを作ることが鍵だと思っている。美しいロケーションを生かした神前結婚式や、島内7社の御朱印を集める七福神めぐりツアーなど、アイデアは尽きない。「しがらみがない『よそ者』の私でしかできないことをやりたいです」。力強く語る姿が印象的だった。(通訳ガイド・細川治子) 有料会員になると会員限定の有料記事もお読みいただけます。 【お得なキャンペーン中】有料記事読み放題!スタンダードコースが今なら2カ月間月額100円!詳しくはこちら Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
「生き恥さらしてもいい」 落語家の桂文我さん、命の大切さを訴える
福岡いのちの電話と朝日新聞厚生文化事業団が主催する「自殺予防公開講座」が20日、福岡市中央区内であった。落語家の桂文我さん(63)が命の大切さを訴え、市民やボランティア約170人が聴き入った。 文我さんは講演で、師匠の桂枝雀さんや桂米朝さん、笑福亭松鶴さんなど多くの噺(はなし)家らの思い出やエピソードを披露した。年齢を重ねてもユーモアを忘れない姿を紹介しつつ、「人は誰でも気がめいることがあるが、周囲の誰かと世間話でもいいから、話をすることが大切。長く生きてきたお年寄りはそれだけ経験を積んでおり、考えが深く、話が面白い」と話した。 小ばなしを交えた軽妙な語り口に会場は笑いに包まれた。文我さんは「何があっても最後の最後まで生きましょう。私は生き恥をさらしてもいいと思っている。生きていてこそ楽しめる」と笑顔で語りかけた。 ◇ 深い悩みを抱えている人に対し、福岡県内では、福岡いのちの電話(092・741・4343)や北九州いのちの電話(093・653・4343)が、年中無休・24時間態勢で、無料の相談に応じている。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
「生き恥さらしてもいい」 落語家の桂文我さん、命の大切さを訴える
福岡いのちの電話と朝日新聞厚生文化事業団が主催する「自殺予防公開講座」が20日、福岡市中央区内であった。落語家の桂文我さん(63)が命の大切さを訴え、市民やボランティア約170人が聴き入った。 文我さんは講演で、師匠の桂枝雀さんや桂米朝さん、笑福亭松鶴さんなど多くの噺(はなし)家らの思い出やエピソードを披露した。年齢を重ねてもユーモアを忘れない姿を紹介しつつ、「人は誰でも気がめいることがあるが、周囲の誰かと世間話でもいいから、話をすることが大切。長く生きてきたお年寄りはそれだけ経験を積んでおり、考えが深く、話が面白い」と話した。 小ばなしを交えた軽妙な語り口に会場は笑いに包まれた。文我さんは「何があっても最後の最後まで生きましょう。私は生き恥をさらしてもいいと思っている。生きていてこそ楽しめる」と笑顔で語りかけた。 ◇ 深い悩みを抱えている人に対し、福岡県内では、福岡いのちの電話(092・741・4343)や北九州いのちの電話(093・653・4343)が、年中無休・24時間態勢で、無料の相談に応じている。 Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
自民「ボディーブローのよう」 裏金問題で逆風、熊本知事選へ影響は
「情勢は横一線。もうひとがんばりしよう」 熊本県知事選も中盤となった18日夜、自民党熊本県連は緊急の選対本部会議を開いた。 その席で重鎮県議の前川收会長が集まった県議にげきをとばした。 直前には報道各社の情勢調査が、自民と公明党が推薦する前副知事の木村敬氏(49)と、複数の野党が支援する前熊本市長の幸山政史氏(58)の接戦を伝えていた。 熊本は衆参選挙区の議席を自民が独占。県議会の議席の7割を占めるなど、自民が強い地盤を持つ。それだけに接戦の報は激震だった。 会議後、部屋から出てきた県議が抱えていたのは巨大なポスターの束。参加した県議によると、渡されたのは「投票へ行こう!!」と書かれたものだった。「今あるものをはがして、その上に貼ってくれとの指示だった」と話す。 「今ある」ポスターとは、地元選出の国会議員や県議と、木村氏が並んだ2連ポスターだった。 副知事だった木村氏は、4期16年務めた蒲島郁夫知事が今期での引退を表明した後、自民の要請で立候補を表明した。ただ、東京都出身で元総務官僚の木村氏は知名度不足が課題だ。2連ポスターを各地に貼り、浸透を図っていた。 ところが、自民党派閥の裏金問題をめぐる逆風が直撃した。 野党が集会「不適切にもほどがある!」 ある陣営関係者は自民議員と… Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
減らぬ自転車と歩行者の重大事故 年300件、事故全体は半減なのに
交通事故の発生数や自転車がからんだ事故はここ10年で半減したにもかかわらず、自転車と歩行者がぶつかってけが人が出た事故は11%増えたことが、警察庁のまとめでわかった。歩行者が死亡したり重傷を負ったりした事故は年300件前後で高止まりしている。 警察庁によると、けが人がいた交通事故の発生総数は、全国で2012年の66万5千件から22年には30万件へと半減した。このうち自転車がかかわった事故も、13万件から7万件に減った。 一方、自転車と歩行者の事故は、2625件から2905件に増えた。歩行者が死亡もしくは重傷だった事故は22年に312件あり、ここ10年ほど変わっていない。 自転車の運転者は、24歳以下の若い人が多い。 警察庁が公開している19~22年の「交通事故統計情報のオープンデータ」によると、この4年間に起きた自転車と歩行者の事故は計1万547件。自転車側の年齢は24歳以下が39%で最も多く、歩行者側は75歳以上が18%で最多だった。 事故の半数近くが、歩行者が優先されるべき歩道や横断歩道上で発生していた。 現場の一つを訪ねた。 東京都豊島区上池袋の歩道では、4年間に3件の事故が起きていた。歩道でスピードを出す自転車が多いといい、近くでスポーツ用品店を営む70代の男性は「店を出たお客さんがはねられないよう、自転車に注意を促す赤いコーンを歩道に置いている」と話した。 自転車と歩行者の事故が繰り返し起こる場所は、この歩道だけでなく全国各地にあります。記事後半では、事故データの分析から分かった危険な場所を、デジタル地図で紹介しています。 自転車は道路交通法上は「軽… Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
弟は「かわいそう」じゃない おばあさんの言葉に怒り、考えたこと
神奈川県藤沢市の中学3年生、寺内瑞偉(すい)さん(15)には忘れられない「ひとこと」がある。 保育園の年長さんの頃だった。近くを歩いていた知らないおばあさんが突然、話しかけてきた。 「おなかにいるときに病気が分からなかったの。分かっていたら産まなくても良かったのにね。かわいそうに」 何を言われたのかわからなかったが、生まれたばかりの弟を抱いて、保育園にお迎えに来ていた母の有希子さん(40)に向けられているようだった。 「何がかわいそうなんだろう」。不思議に思う瑞偉さんをよそに、有希子さんはおばあさんに会釈だけし、瑞偉さんの手を引いて逃げるように家に帰った。 あの言葉の意味がわかったのは… 帰宅後、母がぎゅっと握って… Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
東京・目黒の足「さんまバス」、26日から運行 車体の柄に注目
東京都目黒区は、目黒三田通りを中心に東部地区地域交通バス・通称「さんまバス」の実証運行を26日に始める。地元の町会などと検討して実現した。31日までは無料で乗れる。 ルートは、目黒区総合庁舎前から東京共済病院、厚生中央病院、恵比寿ガーデンプレイスなどを経由し、目黒駅前で折り返す。 落語「目黒のさんま」の舞台となる茶屋坂やさんま祭りの開催地を走ることから「さんまバス」と名付けた。区の紋章と同じ江戸紫色がベースの車体には、サンマ柄の模様が描かれている。 目黒三田通りは公共交通の空白地域で、「坂が多い」「病院へ行くのが大変」などの声があり、目黒三田町会などがバス運行を要望。これを受けて東部地区交通協議会ができ、区や町会、バス事業者らがルートやバス停の場所などを検討してきた。 区内で営業している東急バスが、小型36人乗りのEV(電動)バスを購入して運行する。3台分計約1億円の費用は区のほか、国や都からの助成も合わせて全額補助される見込みだ。 東急バス担当者は「要員不足で路線新設は厳しい中、区との協力で地域の要望に応えられた。多くの方に利用頂くことが路線維持につながるので、地域に愛される足となれたら」と話す。 毎日午前8時半から午後4時45分まで運行する。26~31日は無料で、その後は中学生以上230円、小学生以下120円(現金、ICカードは115円)。3年間は実証期間とし、バス停の場所や利用状況、収支などを検証する予定だ。(中山由美) Source : 社会 – 朝日新聞デジタル