政治

年頭所感 山東参院議長「良識の府の使命果たす」(産経新聞)

 明けましておめでとうございます。参院議長として初めて新年を迎えました。皆さまには、新しい年の始まりをお健やかにお迎えになられたことと存じます。 昨年は、台風や豪雨が相次ぎ、各地に被害をもたらしました。被災地の復旧・復興に力を尽くされている皆さま方に深く敬意と謝意を表しますとともに、被災された方々が一日も早く日常生活に戻られますことを心からお祈り申し上げます。 さて、昨年5月には、国民の祝意の中、「令和」の時代が幕を開けました。一方で、わが国では、急速に進む少子高齢化やグローバル化、米中貿易摩擦による経済への影響、韓国や北朝鮮といった近隣諸国との外交関係など、内外に課題が山積しております。参院におきましては、昨夏の通常選挙を経て、構成が新たになりました。本院は、これまでと同様、国民からの期待に応えるべく、任期6年という特徴を生かして、長期的・総合的な観点から審議や調査活動を進め、「良識の府」としての使命を果たしていくことが大切と考えます。 参院では、昨年、議会施設などにおけるバリアフリー化や各種印刷物のペーパーレス化などに与野党の垣根を越えて、果敢に取り組んでまいりました。折しも、本年は議会開設から130年を迎えます。参院議長として、議会開設当時尽力された先人たちの情熱に思いをはせつつ、国民の幸せのために、今後も全力を尽くしてまいります。 この一年が皆さま方にとりまして、穏やかで、平安なものとなりますことを心よりお祈り申し上げ、私からの新年のごあいさつといたします。 令和2年 元旦 参院議長 山東昭子 【関連記事】 Source : 国内 - Yahoo!ニュース

馬毛島、22年度着工へ調整 政府、米軍機訓練候補地(共同通信)

 政府は、米軍空母艦載機による陸上空母離着陸訓練(FCLP)の移転候補地となっている鹿児島県西之表市の馬毛島について、2022年度に飛行場など関連施設の工事を始める方向で調整に入った。関係者が30日、明らかにした。早期に訓練が実施できるよう整備を急ぐが、地元では騒音や事故へ強い懸念が出ているのが現状。政府方針通りに進むかどうかは見通せない。 政府は20年1月にも中断していた環境調査を再開。20年度から環境影響評価(アセスメント)を行う段取りだ。関連費として20年度予算案に約5億円を計上した。着工は環境アセスを終えた後となる。 【関連記事】 Source : 国内 - Yahoo!ニュース

奈良をハイエンドな観光地に 荒井知事に聞く(産経新聞)

 奈良の観光が大きく動いている。奈良公園バスターミナル(BT)が今年4月に開業。来春には県コンベンションセンター(国際会議場)と外資系高級ホテル「JWマリオット」がオープンする。「ハイエンドな観光地」を目指す荒井正吾知事に、観光と経済の観点から今年を振り返ってもらうとともに、来年の方針を聞いた。(川西健士郎) ■「高級観光地」形に 「奈良は高齢者の資産の保有高が全国2位。会社ではなく所帯がお金を持っている。消費額も多いが、県内消費率は全国で最低レベルだ」 荒井知事は、低調な県内消費の改善を主要な経済課題に挙げる。大阪や京都へのアクセスの良さが、こうした構造を招いていると分析し「質の高いものを県内で消費してもらえるよう、いいサプライサイド(供給側)を誘致する必要がある」と話す。 今月、令和12年までの10年計画を発表した南都銀行(奈良市)も、県内総生産の10%増加を目標に掲げる。同社は「ポテンシャルのある『宿泊・飲食サービス業』と関連する『卸売・小売業』『製造業』『保健衛生・社会事業』の拡大を目指す」とするが、荒井知事も観光から消費拡大につなげる構想を持っている。 「商店街をローエンドからハイエンドにするのは難しい。質の高い消費に転換していくためには、観光をハイエンドにするのが有効だろう。欧米の高級観光地にラグジュアリーブランドや宝石店があるように、宿泊とショッピングが一緒にならないといけない」 県はすでに、奈良市役所前に外資系高級ホテル「JWマリオット」を誘致し、その隣にはコンベンションセンター(国際会議場)を建設中。ともに来年春の開業予定で、知事は「ハイエンドな観光地を目指してきたが、ようやく形になってきた」と実感を込める。 ■BT利用に課題残す 「今年は(ロンドンの)大英博物館で奈良の仏像を展示したが、そうした仏像を鑑賞されるような人にこそ楽しんでもらえる観光地を目指している」 大仏だけを見て満足し、県外の宿泊先にとんぼ返りしても奈良を知ったことにはならない。奈良に宿泊して、歴史や文化をじっくり味わってもらえる観光客をより大切にしたい-。それが荒井知事の思いだ。 県はこのため、奈良公園(奈良市)にある飲食店の充実を促し、トイレ整備などのアメニティ向上を進めてきた。約45億円をかけ、奈良公園BTを建設したのもその一環だ。だが、BTよりも使い勝手が良い春日大社駐車場を利用する観光バスが激増。奈良公園周辺の渋滞緩和に寄与すべく整備されたBTだが、利用は当初の見込みを大きく下回る状況が続いている。 荒井知事はBTについて「渋滞緩和に一定の効果があった」と評価する。もっとも、観光バスの利用を増やしながら、旧市街地「ならまち」などに観光客を周遊させ、滞在時間を伸ばしてもらうための工夫は十分とは言いがたい。 ■不比等さんに代わって… 荒井知事は今月、世界遺産「平城宮跡」の南に広がる積水化学工業奈良事業所跡地の全体(4・9ヘクタール)を県営歴史公園にする方針を明らかにした。 県は、史跡を横切る近鉄奈良線の線路を大宮通り付近に移設し、朱雀門の南側に「朱雀門前」駅を設置したい考え。その方向性について、来年度にも一定の方針が出される見込みだ。 来年は平城京の造営に携わった藤原不比等の没後1300年。荒井知事は「『平城宮跡からの線路撤去を俺に代わって決めるのだぞ』と、不比等さんに駆り立てられているような気がしている。来年は平城京の設計に寄り添っていろいろなことをやり、未来の奈良の礎を築く年にしたい」と展望を語った。Source : 国内 - Yahoo!ニュース

ダム洪水調整容量倍増へ 利水活用で政府、台風19号教訓(カナロコ by 神奈川新聞)

 台風19号を教訓に、政府はダムの洪水調節機能を強化する方針を固めた。発電や農業用に水をためておく「利水ダム」にも洪水調節機能を持たせることで、大雨や台風に対応できる貯水容量の倍増を目指す。来夏の台風シーズンを見据えて調整を進める。【菅氏インタビューの一問一答】桜見る会、皇位継承、カジノ、ポスト安倍… 菅義偉官房長官(衆院神奈川2区)は神奈川新聞社の取材に「現在、全国のダムの容量のうち洪水対策に使える部分は3割しかないが、これを6割まで倍増させることを目指して調整を進めたい」と強調。洪水調整の権限を国土交通省に一元化させる考えも示し、「安心できる仕組みをつくりたい。台風シーズンまでに対応したい」と述べた。 全国には稼働しているダムが計1460カ所ある。有効貯水容量の合計は約180億立方メートルで、このうち洪水調節に使える容量は約3割(約54億立方メートル)にとどまっている。 政府は29日までに、洪水調節機能強化に向けた基本方針を策定。一級水系のうち、ダムがある全国の98水系でそれぞれ国がダム管理者や利水者との協議の場を設け、事前放流の実施方針や判断の条件などについて2020年5月までに協定を締結する。国交省が水系ごとに統一的な運用を図るほか、関係自治体との間で即時に連絡を取れる体制の構築も目指す。 利水ダムが洪水に備えてあらかじめ貯水を出す事前放流を行う際、利水容量が確保できなかった場合の損失補填制度についても検討する。神奈川新聞社 【関連記事】 Source : 国内 - Yahoo!ニュース

自民、改憲原案の20年策定検討 首相の施行目標を繰り下げ(共同通信)

 自民党は2020年中に憲法改正原案を策定する検討に入った。安倍晋三首相(党総裁)が目標とした20年中の改正憲法施行が事実上不可能となったことに伴う措置。安倍首相在任中の改憲方針は堅持し、21年9月までの総裁任期中の実現へ日程を繰り下げる。複数の関係者が29日明らかにした。立憲民主党などの野党が「日程ありき」の姿勢だと反発するのは必至で、想定通りに進むかは見通せない。 憲法審で条文改正の議論は一度も実施されていない。改憲の必要性について認識を共有し、項目を絞り込むなど課題は多い。このため自民党憲法関係筋の間で、来年中の原案策定を目標とする案が浮上した。 【関連記事】 Source : 国内 - Yahoo!ニュース

自衛官募集、福岡市が名簿提供へ システム更新、対象者抽出(産経新聞)

 自衛官の新規募集をめぐり、福岡市が防衛省に対象者名簿の一括提供を行う方針を固めたことが29日、分かった。市個人情報保護審議会に諮問し、目的外利用を認める答申が得られ次第紙媒体で提供する。名簿を提供できなかった理由に台帳の電子管理システム上に対象者の抽出機能がないという制約があったことが判明。来年1月のシステム更新で制約が解消されるため一括提供に踏み切る。こうしたシステム更新は全国の自治体でも進んでおり、一括提供できる環境整備が進むと期待される。 防衛省は自衛官募集にあたり、18歳前後と22歳前後の対象者に要項を送付している。その際、同省地方協力本部職員らが各自治体の住民基本台帳を基に名簿を作成。しかし、平成31年3月末時点で全1741の市区町村のうち、福岡市を含む931自治体が名簿を紙や電子媒体で一括提供をしておらず、自衛隊側が住民基本台帳から手作業で書き写していた。 安倍晋三首相が今年2月、多くの自治体が自衛官募集の協力を「拒否しているという悲しい実態がある」と発言したのを受け、福岡市の高島宗一郎市長が確認したところ、昭和63年に導入した市の住民記録システム(基幹システム)に生年月日などを指定して対象者を抽出する機能がなかったことが判明した。 同市の藤田三貴総務部長は「システム上、募集対象者に限定したデータが作成できなかった。他自治体も同じような状況ではないか」と説明する。 ただ、同市が令和2年1月、32年ぶりに更新するシステムには抽出機能が搭載されていることから、防衛省に対象者名簿の一括提供の求めに応じることができると判断。市個人情報保護審議会に諮問するなど名簿の一括提供に向けた手続きを進めることにした。 矢野経済研究所の調査によると、自治体向けシステム市場は平成30年度、ここ数年保留されていた基幹システムの更新などに需要の軸足が移っている。システム更新によってハード面の体制は順次、整うとみられる。台帳閲覧すら認めない178自治体(30年度末)を含む6割超の市区町村でも一括提供できる環境が整うとみられる。 【関連記事】 Source : 国内 - Yahoo!ニュース

地酒普及へ「乾杯推進条例」 茨城県つくば市、1月1日施行(産経新聞)

 茨城県つくば市は、地酒などで乾杯することを促す「乾杯推進条例」を令和2年1月1日に施行する。地元産の日本酒やワインの普及を図り、産業や地域食文化の振興を目指す。 正式名称は「つくば市地酒等による乾杯の推進に関する条例」。生産・販売事業者に「乾杯を推進するために主体的に取り組む」ことを求め、市が「乾杯の推進に必要な措置を講ずる」と定めた。一方で「個人の嗜好(しこう)および意思を尊重する」とも明記した。 条例は、市内の2軒の蔵元が平成30年度全国新酒鑑評会で金賞を受賞したことや、29年の「つくばワイン・フルーツ酒特区」認定などを踏まえて議員提案され、20日の定例会で全会一致で可決、成立した。 【関連記事】 Source : 国内 - Yahoo!ニュース

児童虐待の防止強化 国が示す体罰のガイドラインが逆効果…(TOKYO MX)

TOKYO MX(地上波9ch)朝のニュース生番組「モーニングCROSS」(毎週月~金曜7:00~)。12月12日(木)放送の「オピニオンCROSS neo」のコーナーでは、元衆議院議員の金子恵美さんが“改正児童虐待防止法”について見解を述べました。◆国が体罰に関するガイドライン案を策定児童虐待防止強化のため2020年春に施行される改正児童福祉法に「体罰禁止」が明記されたことを受け、厚生労働省は12月3日、どんな行為が体罰にあたるかについてのガイドライン案を示しました。年度内に内容を固め、周知を図ります。厚労省は体罰に関し、「身体に何らかの苦痛、または不快感を引き起こす行為」と定義し、具体例も挙げています。これは、これまで体罰があったとしても教育方針やしつけと言われると介入できなかった児童相談所などが法の根拠を持って踏み込めること、さらには体罰の加減を認識喚起し、相談窓口に繋げていくのが狙いだそう。とはいえ、これが報道されて以降の世間の反応を見ると「正しく伝わっていない、丁寧に伝えられていない印象がある」と言います。そもそも子どもにはそれぞれ特性があり、親子関係も家庭ごとに違うだけに、「画一的なルールを作るのは難しい」と金子さん。また、現在は世界56ヵ国で体罰を禁止する法律があるそうですが、どこも施行直後は抵抗があり、「時間とともに社会が理解を深めていくという流れ」と言います。しかし、日本ではこのガイドラインが「むしろ混乱の元になっていると感じる」とか。というのも、本来この指針は一部の深刻な虐待をしている人・親に向けてのはずが、「その他大勢の真面目に、日々苦しみながら子育てをしている人たちが“こうあらねばならない”と自信を失ってしまったり、行き詰まったりしているのを危惧している」と案じます。◆指針ではなくメソッド、親への教育が必要専門家も「体罰なしで子育てはできる」と理想論は言うものの、金子さんは「その具体的な方策がない」と指摘。そして、「私も子育てをしていると手を上げたくなる気持ちがわかる」と素直な思いを吐露します。金子さんは過去にこうしたことをメディアで話し、批判を受けたこともあったそうですが、「感情の赴くままにやったら暴力だけど、そこには愛情があり、私なりになんとかしたいという必死な思いでやっている」と主張。そして、「どうしたら子どもが言うことを聞くのかを含め、子育てのメソッドのようなものを示すこと」、「母親たちに勉強する機会を与えるなど国のフォローが必要」と訴えます。慶応大学特任准教授でプロデューサーの若新雄純さんは、過去に父親からビンタされたことが何度もあるそう。そこで一番の問題は「僕がビンタされたことではなく、それを僕が体罰を受けたと思っていないこと」と言います。なぜなら、体罰という意識がないと自分に子どもができたときに同じことをやってしまうから。金子さんは子育てに関する事前教育として必要なのは、「子どもって発達段階によって違うのでその接し方とか、親が親であることに喜びを感じられるような教育、豊かな親心を育てる親学の機会」と示唆。さらには、最近増えつつある“ネウボラ”についても言及します。これは、妊娠から育児まで母親のさまざまな悩みを相談できるフィンランドの支援施設・制度ですが、「ここに行く人は多分虐待なんかしない」と推測しつつも、これを必須にすることが重要と言います。例えば、児童手当の給付条件として必ずそこに行くようにするなど、「そこまで政策として考える……そうしないと子育てをする親が苦しむだけ」と話していました。Source : 国内 - Yahoo!ニュース

防衛相、哨戒機の運用状況確認 海自派遣踏まえ、ジブチ拠点視察(共同通信)

 【ジブチ共同】河野太郎防衛相は28日(日本時間同)、アフリカ東部ジブチで、ソマリア沖アデン湾を対象に海賊対処活動を展開している自衛隊部隊の拠点を視察した。河野氏は自衛隊の活動について「国際社会に貢献する大きな意義がある」と激励。27日に閣議決定した海上自衛隊の中東派遣を巡り、海賊対処活動を担うP3C哨戒機を活用することを踏まえ、運用状況を直接確認した。 河野氏は海賊行為の取り締まりを目的に、P3C哨戒機が活動するソマリア沖アデン湾に関し「国際社会の平和と安全のため、この海域の安全を守ることが不可欠だ」と強調した。 【関連記事】 Source : 国内 - Yahoo!ニュース

亥年選挙 保守分裂で目立った「安倍1強」ほころび(産経新聞)

 平成から令和に変わった今年は、春の統一地方選と夏の参院選が重なる12年に1度の「亥年(いどし)選挙」の年だった。参院選に勝利した安倍晋三首相は自民党総裁として国政選挙で6連勝(衆院3回、参院3回)。11月20日には首相の通算在職日数が桂太郎を抜いて歴代単独1位となり、文字通りの「安倍1強」体制を築いた。【写真でみる】参院選の大勝を受け喜ぶ安倍総裁 ただ、「選挙イヤー」を振り返れば「ほころび」も目立つ。統一選前半戦の11道府県知事選では、島根、福岡、福井、徳島の4県で保守分裂となった。前回の統一選では分裂の知事選はなかった。 島根県知事選は、竹下亘元総務会長(県連会長)ら国会議員5人全員の支援を得た党推薦の新人が、多くの県議が推した別の新人に敗れた。島根は竹下氏の兄の故登元首相や青木幹雄元参院議員会長が築いた「竹下・青木王国」。これまで国会議員が中心となり知事選の候補者を選んできたが、今回は22人の県議のうち6割超の14人が反旗を翻し、「王国」は崩壊した。 当選した新人の支援に回った五百川(いおがわ)純寿県議=8期=は「県議会の自民会派は分裂し、しこりは残っている」と現状を語る。そして知事選勝利の意義をこう強調した。 「下克上のようになってしまったが、国会議員は首相官邸の顔色ばかり気にしている。将来を見据え、県民の声をしっかりと吸い上げなくてはいけない」 民意をつかむ力の劣化は「ほころび」を生む。その象徴が、4月の大阪府知事・大阪市長のダブル選だった。自民推薦候補は、大阪市を廃止・再編する「大阪都構想」を掲げた日本維新の会系候補にいずれも完敗した。 主な敗因は政策や理念を脇に置いた「野合」にある。自民系候補を立憲民主党や共産党などの野党が事実上支援し、保守層の離反を招いた。とりわけ維新は、国政で対立する自民、共産の「自共共闘」とやり玉に挙げ、出口調査の結果では自民支持層の5割が維新に流れた。 自民府連所属の国会議員の一人は「何が府民と市民の利益になるかを考え、自民が一致団結し力を合わせる必要がある」と語る。 ただ府連は都構想の制度設計に反対しており、維新との対立から協調にかじを切って賛成する公明党府本部と一線を画す。国政で連立を組む自公の関係がねじれ、今後の選挙協力に不安を残している。 今年最大の政治決戦となった7月の参院選で自民、公明は改選124議席の過半数(63議席)を上回る71議席を獲得した。しかし自民、公明に維新などを合わせた改憲勢力は非改選議席を加えても160議席で、国会発議に必要な3分の2(164議席)に届かなかった。 「ほころび」は、自民が野党5党派の統一候補と一騎打ちした32の改選1人区で露呈した。自民は平成28年の前回選挙を1議席上回る22議席を獲得したが、東北6選挙区のうち、青森と福島を除く4選挙区で苦杯をなめた。東北は、安倍政権による環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)の推進に不安を抱く農業関係者が少なくない。 自民幹部は「支持が低い地域があり、丁寧に取り組まなければならない」と自戒を込めて語る。その上で「参院選は自民が勝ったというより、野党が負けたという方が的確だ。野党の失態が、われわれの勝利に結びついている」と危機感をあらわにした。 枝野幸男代表率いる立民は政権の受け皿を用意すべく、国民民主党や社民党に合流を呼びかけ、協議を進めている。次期衆院選をにらみ、知事選などの大型選挙で、共産を含めた共闘態勢を構築してもいる。 こうした中、宿願の憲法改正を目指す首相は、令和3年9月の党総裁任期を念頭に「解散カード」を切るタイミングを見極めている。今月9日の記者会見では「信を問うべきときが来たと考えれば、解散・総選挙を断行することに躊躇(ちゅうちょ)はない」と明言した。 それでも次期衆院選で自民が苦戦を強いられることは間違いない。平成29年の前回衆院選は野党が選挙区で競合したため、当選した自民議員でも得票率が過半数に至らないケースが珍しくなかった。次回も野党が統一候補で臨めば、勝敗の行方は予断を許さない。 自民が参院選1人区のうち10選挙区の敗因を分析したところ、「候補者の日々の運動量が足りない」「議員が地元に帰ってこない」といった選挙区での活動不足が浮かび上がった。これでは民意をすくい上げることはできない。 令和2年は自民にとってリベンジとなる東京都知事選(7月5日投開票)が控える。現職の小池百合子知事と距離を置く自民都連は対抗馬擁立を模索するが、高い知名度を誇る小池氏に勝てる候補を探すのは容易ではない。首都決戦の勝敗は政権の基盤すら左右するだけに、民意を見誤れば「ほころび」はさらに広がりかねない。(長嶋雅子)Source : 国内 - Yahoo!ニュース