寺島笑花2024年3月29日 7時00分 「原爆の父」と呼ばれる物理学者の半生を描いた米国映画「オッペンハイマー」(クリストファー・ノーラン監督)が日本でも公開される。米アカデミー賞では作品賞など7部門を受賞し、話題を呼んだが、原爆の被害に直面した長崎の被爆者たちはこの映画をどう評価するのか。 映画は、原爆の開発・製造を目的とする「マンハッタン計画」を主導した理論物理学者、ロバート・オッペンハイマー(1904~67)の視点で、原爆の開発から日本への投下が描かれる。ただ、被爆地や被爆者の描写はほとんどない。第2次世界大戦や冷戦、赤狩りなど、時代の波に翻弄(ほんろう)されたオッペンハイマーの人生が描かれている。 日本での公開に先駆けて18日夜、長崎市で若者向けの試写会と被爆者らによるトークイベントが開かれた。 トークイベントには、被爆者で医師の朝長万左男さん(80)と政治学者の前嶋和弘さんが登壇。時代背景を説明しつつ、映画の感想を語った。 会場の学生からは「核実験成功後、人々が狂ったように喜びたたえ合う姿に強い違和感を覚えた」という意見も上がった。朝長さんは「私もそう思う」と応じた上で、被爆者の描写がなかったことについては「オッペンハイマーのセリフの中に、被爆の実相にショックを受けたことが込められていた。あれで十分だった」。前嶋さんは「いまの世界を支配している核兵器を、もう一度見つめなければならないというメッセージが込められている。米国の変化の映画だ」と語った。 イベント後、取材に応じた大学生の塚根みづなさん(18)は「映画を見て、いままで出会った被爆者の方々の言葉や表情が想起されたが、前提知識がない人にとっては被爆者の思いは連想しにくい情報量だった」。高校2年の安野美乃里さん(17)は「原爆を落とす側の新しい視点で見た。人間の探究心は止めることができない中、どう未来の幸せにつなげるか、考えさせられる映画」と話した。 日本では、この映画はどのように受け止められるのか。映画は29日から一般公開される。(寺島笑花) 有料会員になると会員限定の有料記事もお読みいただけます。 【お得なキャンペーン中】有料記事読み放題!スタンダードコースが今なら2カ月間月額100円!詳しくはこちら Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
平和資料館に「性差別と性暴力」のコーナー新設、女性の性被害告白で
朝鮮人被爆者の実態調査や支援に取り組んだ長崎市の牧師で元市議の故・岡正治氏から生前、女性が性暴力の被害を受けたと訴えた問題で、昨年10月から休館していた同市の資料館が4月1日、岡氏の名を外した館名で、展示内容を見直して再開する。岡氏に関する展示を撤去し、「性差別と性暴力」のコーナーを新たに設けるという。 名称は、「岡まさはる記念長崎平和資料館」から「長崎人権平和資料館」に変更する。資料館は、岡氏が75歳で亡くなった翌年の1995年に開館し、日本の加害の歴史や戦争責任に焦点を当てた展示などをしてきた。 今回の問題を受け、岡氏を顕彰する展示をなくし、現代社会の性差別や性暴力、二次被害などの人権問題に関する展示を新設する。問題の経緯を説明する内容も盛り込むという。 資料館側は、岡氏から生前に… Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
愛子さま日赤でボランティア育成の部署へ 宮内庁が発表
新年度から日本赤十字社(東京都港区)への入社が決まっている天皇、皇后両陛下の長女愛子さまについて、宮内庁は28日、所属先が「事業局パートナーシップ推進部ボランティア活動推進室青少年・ボランティア課」に決まったと発表した。嘱託職員として勤務しながら、成年皇族としての公務がある場合は公務を行うという。 宮内庁によると、同課が担当するのは「青少年赤十字の育成や普及、研修」や国際理解、親善活動など。18~30歳の社会人や学生らで組織されたボランティアグループ「青年赤十字奉仕団」や地域ごとの「地域赤十字奉仕団」、専門技術を有する「特殊赤十字奉仕団」の育成や研修も担う。また、災害時に活動する防災ボランティアといった個人ボランティアの普及や育成も行うという。(後藤遼太) Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
東京・町田の女児自殺、両親が市に再調査を要請 「不十分・不完全」
東京都町田市立小学校6年の女子児童(当時12)が2020年11月に自殺した問題で、市の第三者委員会が今年2月にまとめた調査報告書について、児童の両親と代理人の弁護士が28日、市に対し、改めて調査をするよう要請した。重大事態調査として不十分・不完全であるとし、4月15日までに回答するよう求めた。市側は「現段階ではコメントできない」としている。 調査報告書は、女子児童への「複数のいじめがあった」と認定した一方、自殺との因果関係については「原因は複合的で、これのみが自死の原因とは特定できない」と結論づけた。 両親と代理人の金子春菜弁護士は同日、市企画政策課への申し入れ後、会見を開いた。金子弁護士は、調査で当時の同級生全員へのアンケートや聞き取りなどが実施されず、具体的な事実関係が反映されたいじめの認定はされていない、と指摘。「いずれも概括的であり、実態解明のための調査としては不十分」と述べた。 また、報告書で「学校及び家… Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
群馬・山本知事、韓国大使と面会へ 朝鮮人追悼碑の撤去問題めぐり
群馬県が1月末に撤去した朝鮮人追悼碑をめぐり、山本一太知事は28日の定例記者会見で、これまで応じなかった在日韓国大使館との面談について、大使から手紙による面談の要請があったとして応じる考えを明らかにした。 山本知事は22日に尹徳敏(ユンドクミン)・駐日韓国大使名で知事宛ての手紙が県に届いたとし、「今日手紙を拝見した。これは正式な連絡なので、しっかり受け止め、大使が来られるのであればお会いしたい」と述べた。手紙は28日に初めて読み、返答はしていないと説明。読むのが遅れた理由については「連日、すごい日程だった」と釈明した。 山本知事は、朝日新聞が28… Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
旧ジャニーズスタッフも「性加害」 東山社長、BBC取材に明かす
故ジャニー喜多川氏の性加害問題を巡り、英公共放送BBCは28日、「SMILE―UP.(スマイルアップ)」(旧ジャニーズ事務所)の東山紀之社長が、事務所スタッフ2人によるタレントへの性加害を把握していると語ったと報じた。 BBCが、旧ジャニーズの性加害問題を取り上げる番組を30日に放送するのに先立ち、28日に、東山氏に対し2月に行った単独インタビューの模様を含むダイジェスト版の動画と関連記事を配信した。 BBCによると、東山氏は事務所スタッフによる元ジャニーズJr.への性加害について「僕がいま聞いているのは、2人」などと語った。社内調査の結果判明したという。また、警察への情報提供について東山氏は「法的なことを考えると、僕らには権限がないと思いますので。その当事者の人たちがそれに対して刑事告訴をしたら、僕らとしたら全面的に協力する」などと語った。 BBCの報道を受け、事務所… Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
奈良4歳女児の暴行死、行政の対応遅れ指摘 検証チームが報告書
奈良県橿原市で昨年6月、4歳女児が母親の交際相手に暴行されて死亡したとされる事件で、県の児童相談所や市の対応を検証していた専門家チームが28日、報告書をまとめた。児相の通報を受けてから、市が母子と面談するのが大幅に遅れたことや、交際相手に事情を聴かなかったことなどが問題点として挙げられた。 事件では、昨年6月に橿原市の田川星華さん(当時4)の腹を圧迫して死なせたとして、母親の交際相手だった山下翔也被告(27)が傷害致死罪で起訴された。 県と市は事件を受け、同年10月に検証チームを共同で設置。今月中の報告をめどに、検証を進めてきた。 報告書では、医療機関からの虐待通告を受けてから面談したのが5日後で、48時間以内に子どもの安全を対面で確認することを国が求めた「48時間ルール」が徹底されていなかった▽市と県の連絡・連携不足▽支援が必要な子どもについて児相や警察、市などが情報共有をする「要保護児童対策地域協議会」の「実務者会議」が形骸化している――などが指摘された。 また、虐待通告は金曜の夜だ… Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
68軸中12軸で「逸脱」東北新幹線脱線事故 安全委が調査報告書
東北新幹線が2022年に発生した最大震度6強の福島沖地震で脱線した事故で、国の運輸安全委員会は28日、調査報告書を公表した。 報告書によると、22年3月16日午後11時34分、最大震度5弱の地震(前震)が発生。福島―白石蔵王駅間を走行中だった東北新幹線は早期地震検知システムによってブレーキがかかり停止した。さらに、前震の約2分後に起きた最大震度6強の揺れ(本震)で脱線した。現場付近では、前震は震度4、本震は震度6弱の揺れが推計されているという。乗客6人が軽いけがをした。 全17両の車輪についていた68の車軸のうち、60軸で脱線が生じた。さらに60軸のうちの12軸ではレールから車輪が大きく外れる「逸脱」が起きていたとした。 「逸脱防止ガイド」が取り付… Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
パワハラ否定してきた宝塚歌劇団 解決急いだ事情と合意への「留保」
昨年9月末の劇団員死亡から半年。歌劇団は、上級生によるパワハラを認めることに、消極的な姿勢をとり続けてきた。 11月14日、外部弁護士による調査チームの報告書を公表し、「長時間に及ぶ活動などで心理的負荷がかかった可能性は否定できない」として管理責任を認める一方、死亡した劇団員へのパワハラやいじめは「確認できなかった」と主張。会見の場で村上浩爾・専務理事(現理事長)が「(パワハラだとするなら)証拠となるものをお見せいただきたい」とも発言した。 これに対し、遺族側は強く反発。死亡の原因として、上級生によるパワハラがあったとする事実を認め、謝罪するよう求めた。 歌劇団側と遺族側による面談は11月下旬から始まったが、話し合いは難航した。 トップスター頂点とした序列と指導 パワハラ認識にズレ 歌劇団はトップスターを頂点とした序列が各組にあり、5組それぞれ80人ほどが結束して舞台をつくる。その中で上下関係の徹底した指導法がとられてきた。 パワハラをめぐる認識にも、一般社会との乖離(かいり)は否めなかった。歌劇団を運営する阪急電鉄の関係者は「芸を極めるには少し厳しいこともやるでしょう。それを愛ととるか、いじめととるかは、立場によって見方が違う。それをどう判断すればいいか、困っている」と漏らしていた。 2度目の話し合いで幹部や上… Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
鈴木直道北海道知事、パワハラ疑惑の長谷川岳氏に電話申し入れ
長谷川岳参院議員が札幌市職員に暴言を吐いたり、過重労働を強いたりしたとされる問題で、北海道の鈴木直道知事は28日、長谷川氏に電話をして「適切に対応すべきではないか」と申し入れたことを、定例会見で明らかにした。長谷川氏は「申し訳ない」などと謝罪したという。 鈴木知事によると、週刊文春が公開した音声を確認したうえで、28日の昼ごろに鈴木知事から電話をしたという。一方、道職員も長谷川氏から同様の対応を受けたかどうかについては、「報告は受けておりません」とした。 また、鈴木知事は自らの執務中の言葉遣いについても触れ、「一生懸命ですね、仕事を前に進めようという気持ちが非常に強い中で、厳しい言葉遣いになるということは、私自身もあの反省しなきゃいけないと思う」と述べた。(松尾一郎) Source : 社会 – 朝日新聞デジタル