愛知県で開かれた国際芸術祭「あいちトリエンナーレ2019」に出展された「表現の不自由展・その後」(以下、不自由展)は、非常に激しい議論を呼び、Twitterなどで炎上状態となった。
炎上はどうして起こったのか。誰が、どのようにつぶやいていたのか。【取材・文:長倉克枝】
東京大学大学院の鳥海不二夫准教授(計算社会科学)らのチームが分析したところ、「不自由展」の内容が報道され始めた7月下旬から、展示が終わる10月中旬までのあいだ、展示に言及した関連ツイートが約957万件あったことがわかった。
炎上のピークは3回に分かれており、いずれも「不自由展」が始まる前から、もともと特定の政治的な意見をTwitterでつぶやいていたユーザーが中心とみられるという。特定のコミュニティに所属するユーザーが、「あいちトリエンナーレ」を“ネタ”に、これまでの自分の主張を改めてSNSで繰り返すことで炎上が生まれていた。
件数の多さから浮かび上がる関心の高さ
分析結果は、鳥海不二夫准教授と、ビックデータ分析などを担うIT企業「ホットリンク」の榊剛史・開発本部R&D部長が11月16日、鳥取大学で開かれたソーシャルメディア研究ワークショップ2019で発表した。
まず、7月下旬から10月中旬までに日本語でつぶやかれたTweetのうち、「トリエンナーレ」や「表現の不自由」などのキーワードを含む投稿957万件を抽出し、グラフにしてみた(トップの図参照)。
鳥海准教授は、あるテーマのツイートが数十万件以上になると「炎上」として分析対象にしているが、100万件を超える「炎上」は珍しいという。
たとえば、2015年にデザイナーの佐野研二郎氏が制作した2020年東京オリンピック・パラリンピックのエンブレム案について、「盗作だ」などと批判されたときは約2ヵ月で約300万ツイートあった。 また、2014年にSTAP細胞論文の研究不正問題で、小保方晴子・元理化学研究所研究員に批判が集まったときは、半年で約400万件のツイートがあった。
データを集計した時期、テーマ、手法などがそれぞれ異なるため単純には比較できないが、今回の「あいちトリエンナーレ」のツイートの約950万件という数字は、ほかの社会問題と比べてもSNS上の関心の高さがうかがえる。
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Source : 国内 – Yahoo!ニュース