「申し訳ありませんでしたっ……」
2009年9月14日、北海道・大雪山系トムラウシ山(2141メートル)。北海道警の実況見分に立ち会っていた男性(当時32)が土下座した。
2カ月前、登山ツアーの客とガイドの一行が遭難し、客7人とガイド1人が亡くなった。男性は3人いたガイドのひとりだった。
当時、道警航空隊の警部補だった尾崎雅義(49)は遭難者の救助にあたり、地形を熟知していたこともあり、実況見分に同行していた。
男性の姿を見て、背負っているものの重さを感じた。
「山登りは、命の危険と隣り合わせ」。それが夏山も例外ではないことを、改めて痛感させられた事故だった。
09年7月17日の明け方。空はオレンジ色にほのかに染まり、厚い雲からトムラウシ山がのぞいていた。
「到着5分前」
道警ヘリ「だいせつ2号」で…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル