気象庁は、地震に伴う津波が長時間続く場合に今後の見通しを解説する情報を充実させる方針だ。津波からの避難を促す一方、「いつまで避難を続ければいいか分からない」といった声に配慮し、先行きを示して不安を軽減させるのが狙いだ。
津波が発生して警報が長引いた際、避難の継続や人命救助活動の判断に役立てるための追加の情報が不足しているとして、気象庁は昨年12月に有識者による検討会を設置。3月21日に了承された方針案では、今後は記者会見などで津波の発生から減衰までの経過や見通しを積極的に発信をすることが決まった。
具体的に追加されるのは、過去の事例と照らした津波の継続見通し▽警報や注意報を継続している根拠▽津波と重なって潮位が上がる可能性のある満潮時刻▽津波の弱まり具合が分かる波形図などだ。例えば、津波の見通しについて「少なくとも1日程度以上」のような表現を使うことになりそうだ。4月中をめどに報告書をまとめる。
「解除見通し」は発信せず
検討会では警報解除の見通しや直近の津波高を発信する案も示されたが、「過度な安心情報として捉えられる恐れがある」との意見が出て、盛り込まれなかった。
元日の能登半島地震では、石川県輪島市の大規模火災で「ただちに高台へ避難」などと呼びかける津波警報が出ている中での消火や救助の活動のあり方が課題となった。津波の見通しを示すことで、作業を進める際の判断材料に活用してもらいたい考えだ。(大山稜)
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル