松永佳伸
愛知県東郷町の認定こども園「太陽わごうこども園」で保育士が園児に暴言を吐くなどした問題で、検証していた第三者委員会は15日、再発防止策をまとめた報告書を町に提出した。第三者委は「不適切保育」と認定し、園の運営体制を抜本的に見直すよう「解体的再構築」を求めた。民営化した園に対する町の協力体制の不備も指摘した。
第三者委は、弁護士や学識経験者らで構成。保護者や保育士へのアンケートや聞き取りを重ねてきた。
報告書によると、昨年8月3、4日、複数の保育士が、1歳児クラス(21人)で「本当にこの子嫌だ」「ほんと腹立つこの子」などの言葉を複数の園児に浴びせた。第三者委は「心理的虐待と言わざるを得ない」として不適切保育を認定した。発言した保育士も「言葉は悪かった」と認めている。
町立だった園は昨年4月、民営化により浜松市の法人が運営する形で新たに開園。報告書では、1歳児クラスは当初8人の保育士が配置される予定だったが、急な退職などで5人になり、うち2人はけがをしていた。法人は、現場の補充要請に応えず、園は人手不足で、十分な保育ができる状況でなかったという。
また、保護者との情報交換や保育士間の交流もなく、保育観の共有もなされておらず、管理的、支配的な保育だったと指摘した。
町の責任にも言及。民営化を急ぐ余り、スムーズな移管への協力体制の構築を怠っていたとし、第三者委は現在、2保育園で進む民営化の一時停止を促した。
第三者委はこのほか、今回の不適切保育の背景の一つとして、低すぎる保育士の配置基準も指摘し、国には見直しを求めている。
川口創委員長は、「二度と不適切な保育が起きないためにも、保育士が一人ひとりの子どもと向き合える環境を早急に整備してほしい」と話した。(松永佳伸)
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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル