僧侶や宮司ら宗教家が受刑者と1対1で向き合い、教えを説いたり悩みを聴いたりする「教誨(きょうかい)」。なかには誰にも話せなかった胸の内を明かす受刑者もいる。富山刑務所(富山市西荒屋)にも、教誨を機に過去と向き合い、希望を見いだした男性がいる。
「父親が死んだ年齢を超えて、あと何年生きられるか分からないと思うようになりました」
2月、刑務所の一室。50代の男性受刑者は、教誨師を務める同市の僧侶、川越恒豊さん(79)を前に、しまい込んでいた記憶を語り始めた。
酒飲みだった父親は、弟や妹には優しかった。だが、男性だけは手足を縛られたり、たばこの火を押しつけられたりといった暴力を受けた。
「そういうのは忘れられない?」。川越さんの言葉に、男性の声が震えた。
「忘れられないっ…
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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル