まだまだ寒い。体が温まるかす汁が好きなら、京都にうまみたっぷりの「霜ふりささめん」があります。家族の長ーい歴史の味です。(編集委員・長沢美津子)
最初に目をとめたのは、木枯らし吹く大阪のオフィス街だった。喫茶店が出すランチの看板に「かす汁あります」と貼り紙があった。正月に京都の伏見に行くと、店先にしぼりたての酒だけでなく酒かすも蔵別にずらり。懐かしいおやつが「火鉢で板かすを焼いて砂糖をつける」と聞いた時は「なんと粋な」と驚いた。
記事の後半では、旅と郷土食のイラストエッセイスト・松鳥むうさんが、濃厚なかす汁愛を語ります
暮らして気づく伝統の酒どころ・関西の冬景色。酒かすの文化がある。ぐっと冷え込む日に「内臓からあったまる」と人気の一杯も、日々の暮らしから生まれていた。
一杯に家族3代のヒストリー
その名は「霜ふりささめん」。明治の初めに創業した「自家製麺 天狗(てんぐ)」(京都市上京区)の季節メニューで、酒かすの溶けた白いだしを霜に見立て、つるんとした独自の中華麺「ささめん」を使っている。具は野菜のほか牛肉、エビ天、卵とにぎやかで、添える薬味は唐辛子。「冷めん」の夏が終わった途端、「霜ふりまだか」とせっつく常連客もいる。
6代目となる柄崎(つかさき…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル