北海道に出されていた新型コロナウイルス対応の緊急事態宣言が解除され、21日から「まん延防止等重点措置」に切り替えられた。重点措置の対象区域となる札幌市内の飲食店では約1カ月ぶりに、感染対策の要件を満たせば午後7時まで酒類を提供でき、経過区域の旭川市や小樽市、石狩地域の市町村でも午後8時まで出せるようになった。規制緩和により、飲食店や観光地は客足が戻ることに期待するが、感染リスクが残る中での集客の難しさを指摘する声も根強い。(佐藤亜季、鈴木剛志、志田修二、西川祥一、阿部浩明、三木一哉)
売り上げが激減していた飲食店からは、酒類提供再開に期待する声が上がる。
居酒屋「炎」を展開する伸和ホールディングスは、札幌市内で休業していた20店を順次再開させる。「(酒類提供が)午後7時までといった制約はあるが、(酒類提供の解禁は)一安心。今後、徐々に(道などの要請は)緩和の方向にいくと思うのでほっとしている」(担当者)。アクリル板設置など道が求める感染防止対策の準備を各店で整えている。
酒類提供ができない間も開けていた4店では、売り上げはほとんどなかったという。各店の再開で、まずはコロナ禍前の半分程度まで売り上げを回復させたいという。
ススキノの焼き肉店「焼肉 上を向いて歩こう。」は、酒類提供が午後7時までと短時間のため、新メニューを検討中だ。道が求める感染対策に加え、非接触型のレジの導入なども進め、準備が整い次第営業を再開する。店主の神田隆さんは「飲食店の可能性は依然あると信じている」と、客が徐々に戻ることを期待する。飲食の売り上げはピークの2割程度だが、社員の雇用確保のために不動産などの事業も始めつつ、引き続き飲食を事業の中心に据えるという。
「まだ客戻らない」不安の声
重点措置で酒類提供が解禁されたとはいえ、札幌では午後7時まで、旭川や小樽、石狩管内では午後8時までに制約される。なかなか客足が戻らないことへの不安も根強い。
石狩管内の千歳市の居酒屋店主(54)は「客の戻りは期待はできない」。客の多くを占める自衛隊員や市役所関係者らは、「皆、まん防(まん延防止等重点措置)の縛りでまだ(夜の街には)出られないだろう」という。
昨年の客の入りは例年の2割。特に年末年始は1割にも満たなかった。緊急事態宣言下では食事だけを提供したが、「食べるところがないという常連客のため。焼け石に水ですよ」。出張やゴルフで訪れたホテルの宿泊客からの問い合わせに「ノンアルコールなら」と答えると「それじゃ意味がないんだよ」と逆切れされたこともあった。
7月は自衛隊の異動期で、例年なら送別会が多いが、それも期待できないという。ひとまずアルバイト1人を復帰させたが、「ほんとに予約はゼロ。ひと組でもふた組でも入ってくれれば」と語った。
「お酒が提供できるようになったからと言って、まったく喜べないよね」。小樽市のすし店のおかみ(59)もそう言う。今回の緊急事態宣言の解除も、これまで繰り返された自粛と緩和の一つとしか思えないという。「まだコロナは怖いし、すぐに観光客が来てくれるようにはならないと思う。今年の夏もだめだろうね」
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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル